ワコール 食と雑貨のECをオープン、既存顧客を念頭に提案強化へ
2023年 4月20日 12:00
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ECモールとして同社がプラットフォーマーに、生産者が販売元となり、商品は販売元からユーザーに直送する。販売元はワコールに販売手数料のみを支払う形だ。
ワコールは昨年3月の新会員サービス「ワコールメンバーズ」のスタートを見据えて、500万人以上という会員基盤を活用した新サービスの検討を2020年末頃に開始。既存会員へのアンケート調査を通じて興味関心やワコールに期待しているサービスを聞いた結果、時間やお金をかけて楽しみたいことの1位が「食」だった。
また、食品お取り寄せサイトの利用経験が42%に上ったことや、「フードロス」など食にまつわる社会課題への関心が高かったことを受け、ワコールらしい視点で厳選した食品を取り寄せできるECモールを構築することになった。
新サイトは”からだとこころに幸せ運ぶ”をコンセプトに、社内公募の2人を含む4人の女性バイヤーが全国をまわって選りすぐった商品を提案するほか、美と健康にまつわるブログや、食を通して社会課題の解決に取り組む生産者を取材したブログなどのコンテンツも発信する。
ECモールや食の通販としては後発で、競合も多いが、「『ワコール・スプーン』の利用者の8割が既存のお客様と想定した事業を行う」(画像(上)=藤村努執行役員販売本部通信販売事業部長)とし、500万人の顧客が何を求めているかをベースに商品・サービスを提供していく考え。
食は下着以外でも顧客に寄り添える領域で親和性があり、かつ一般的に購入頻度が高く、LTVの向上も期待できることから、ワコールメンバーズを軸にしたビジネスが成り立つと判断した。
同社の顧客層は30~60代女性が中心で、昨年、リアル店舗と自社EC、カタログ通販の会員を一元化しており、まずはメルマガなどを通じて新サイトを告知する。
「ワコール・スプーン」の品ぞろえについては、毎年50の販売元を開拓していく。商品は販売元からの直送となるため、オンライン販売の経験がある生産者を中心に、顧客ニーズに即した商品を充実させる。同時に、ワコールメンバーズの獲得を進めることで、「ワコール・スプーン」の取扱高は3年後に5億円、31年3月期に10億円を計画する。
現状、「ワコール・スプーン」から下着の通販サイト「ワコールウェブストア」への導線は用意しており、お取り寄せサイトに訪問した新規ユーザーの顧客化も進めたい意向だ。
なお、同社は今年4月に組織面も含めて商品企画の方針を転換。「これまでは、機能性も含めて『当社の商品は良いものだから使ってほしい』というスタンスが頭のどこかにあったが、『顧客目線がすべて』という指針を掲げ、顧客の声や行動履歴をベースに商品を企画する体制を強める」(藤村執行役員)とし、「既存のお客様にさ らに喜んで頂くには何をしたらいいかを考える中で、今回の『ワコール・スプーン』の立ち上げにもつながった」(同)という。