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消費者庁の届出根拠「確認」 複数社が届出撤回、「変更届」による対応も

2023年 7月27日 12:00

 さくらフォレストの景品表示法処分を受けた同種の機能性表示食品の届出根拠の確認をめぐり、複数社が届出を撤回した。消費者庁の新井ゆたか長官が、7月20日の定例会見で明らかにした。

 届出根拠の「確認」は、処分対象になった3成分。「DHA・EPA」は31件、「モノグルコシルヘスペリジン」は12件、「オリーブ由来ヒドロキシチロソール」は47件の計88件が対象になっている(2成分の重複4成分を含む)。さくらフォレストは処分同日の6月30日、対象2製品の届出を撤回した。

 「DHA―」は、さくらフォレストの製品の成分含有量が4~500ミリグラム(総量)だったことから、これを下回る製品等の根拠を確認するとしていた。

 処分以降、機能性表示食品のデータベースでは、「DHA・EPA」は、備前化成の「EPAの極みBAPT」(7月4日)、富士化学工業の「藻類のDHA」(同7日)が届出を撤回している(7月22日時点)。備前化成は、「売れ行きが悪く、期末の見直しのタイミングで撤回を判断した」としている。消費者庁の確認も受けていない。富士化学工業は、中性脂肪関連ではなく、記憶力ケアの機能性表示食品で、成分量も960ミリグラム。「販売予定がないための撤回で今回の措置を受けたものではない」。変更届は29件ある。

 「モノグルコシルヘスペリジン」は、撤回がなく、変更届7件。「オリーブ由来ヒドロキシチロソール」は、撤回が常磐薬品工業の「羊羹」(同11日)と、自然食研の「まるごとオリーブ習慣」(同12日)。常磐薬品は「販売予定がないため撤回」、自然食研は、消費者庁の確認を受けて撤回を判断した。変更届は7件あった。

 全製品の再検証をめぐっては、3成分以外の一部成分で、食品表示企画課が根拠の確認を行っているという情報もある。本紙に情報が寄せられたのは、ダイエットサポート関連の「リンゴ由来プロシアニジン」と睡眠関連の「ラフマ由来ヒペロシド、同イソクエルシトリン」。ただ、新井長官は、根拠に疑義がある成分で、食表課による主体的な「確認」を行っているかについて、「どの成分というのは申し上げられないが、最新のデータでアップデートしてもらわないといけないと思っているので、そのあたりは情報収集している」とし、会見後「まずは3成分から」と否定した。この時期、消費者庁は前年に実施した届出根拠の「分析事業」をもとに、事業者に届出の修正・依頼を求める。一部成分の「確認」との混同は、この影響とみられる。

 識者によると、「―プロシアニジン」は、1報SR(研究レビュー)で、試験結果の解析など評価手法に問題がある可能性があるという。「ラフマ―」は、一部有意差が得られた評価指標のみで届出を行っている点に疑義が生じる可能性があるという。

 会見後、新井長官は、「情報収集」の内容について、海外の食品表示制度など国際情勢の把握も進めていることに触れた。EUでは、FSA(=エフサ、欧州食品安全機関)が中心となり、関与成分と表示を決める「規格基準型」の運用が行われている。ただ、一部関係者には、「柔軟な表示が可能な制度の利点が失われる」、「栄養機能食品と同じになる」など抵抗感もある。
 
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