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「税関で健康食品の一部に影響がでているようだ」。海洋放出を受けてファンケルは情報収集に動く。中国展開する他の大手も「情報収集している段階」(ディーエイチシー)、「現時点で影響は把握できていないが、情報収集している」(新日本製薬)と情勢を注視する。
健康食品のあるOEM企業は「港により停止になっている製品がある」とする。とくに海産物由来の原料を使用した製品の審査が厳しいという。原料調達面は、業界各社から「影響はない」、「調整できる範囲」との声が聞かれる。
昨年末のゼロコロナ政策解除を受け、訪日客のインバウンド需要も回復傾向にあった。現状、インバウンドは「売り上げに影響はない」(業界関係者)とするが、政策転換は「過去の例からも長期化が常」(同)。渡航制限など、チャイナリスクが再燃する可能性もある。
中国本土の状況は、「8月初頭の出荷は通関している。ただ、化粧品も通関できないという話も出てきている」(前出通販企業の一社)、「中国国内の販売に影響が出ている」(同OEM企業)。SNSでは化粧品の不買・返品を呼びかける動きが拡大する懸念もある。
「中国代理店と中国側で放射能検査を行えば、通関の後押しになるのではないかという話をしている」(別の通販事業者)。今後の禁輸措置拡大を見据え、対策を検討する企業もある。この会社は東日本大震災以後、18年まで自社で放射能検査を行ってきた。情勢次第で調整する。
ほかに想定される影響は、中国への滞在・渡航。外務省は注意喚起するが、「今のところ現地社員の身の危険はない。尖閣問題当時とは異なると感じるが、情報収集して対応する」。政策転換に動いたかにみえた中国政府だが、予断を許さない情勢が続く。