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IoT家電の使用例として、外出先からのエアコンの電源操作がある。実は家電の火災原因にはエアコンの発火事故が少なくなく、自宅不在時にエアコンを作動させることは、万が一の火災発生時に初期対応ができないことになるため、メーカー側には安全に対するリスクアセスメントを求めている。
また、自動ロボット掃除機も同様で、使用者の見えない範囲で稼働した際に、電気ストーブなどの前でバッテリー切れを起こし、火災にまで発展する可能性もあるとされる。
家電製品の安全適合を示す「Sマーク」を認証する電気製品認証協議会(SCEA)では、「遠隔操作を介して、人の注意が行き届かない範囲で(製品が)自動で動くことで思わぬ事故につながるリスクがある」と分析。
現状、経済産業省が作成したガイドラインでは、熱が生じるヒーター系などの家電は遠隔操作に不向きな機器として、搭載が推奨されていない。国内の大手家電メーカーも、遠隔操作を搭載する製品には様々なケーススタディを基に、その事故リスクなどについて説明書やホームページなどで情報を発信。当然、SCEAでも家電製品のSマークを認定する際には、こうした取り組みがきちんとできているかどうかを判断基準の一つにしている。
とは言え、市場に流通されている商品の中にはそうした注意喚起が十分に行われていない家電も少なくない。とりわけ、ネット通販では海外製の廉価なIoT家電が人気となり、その販売ページを見ても事故リスクまでを詳しく紹介していないものや、そもそも製品自体に事故回避のための安全性が欠如しているようなものも多々あるという。
ECの場合、リアルの売り場と違って、店員がその場で製品のリスクを口頭で説明できるわけではない。また、限られた販売ページの中で売りにつなげる訴求を考えると、どうしてもメリットだけを前面に押し出したページ構成になってしまうことは否めない。「(通販サイトで)十分な説明がなされていないまま、購入者が事故を起こしてしまうと、製品だけでなくその売り場に対しても責任を問う声が出る可能性はある」(SCEA)と指摘した。
これまで以上に普及が見込まれるIoT家電だが、EC事業者としても無用なトラブルを避けるために、トレンドだけで判断するのではなく、安全面にも配慮した製品であるかを見極める目が必要だ。