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通販専門放送局、攻勢へ QVC・ショップチャンネルの最新動向は?

2023年 9月14日 12:00

 通販専門放送局が攻勢に転じている。ここ数年はコロナ禍やコロナ特需の反動減などを受けて、下地固めに軸足を置いていたようだが、特に今年からは攻めの施策を打ち出している。コロナ禍以降は行っていなかったリアル展開を再開し、既存顧客との接点拡大策や、新規層へのリーチを推進するQVCジャパン。コロナ禍以降は休止していた「24時間生放送」という通販専門放送局としての最大の強みであり、”金看板”を再び掲げつつ、多様な層に刺さる番組作りを強化し始めたジュピターショップチャンネル。大手通販専門放送局2社の直近の動向を見ていく。
 


ショールーミング店初出店、リアル展開始動

QVCジャパン


 QVCジャパンは9月7日から同10日までの4日間、東京・表参道で同社運営の通販専門チャンネルで紹介、販売する売れ筋商品を展示し、来場者が試用できるポップアップショールーム「QVCウェルネスサロン2023」を開設した。

 実施の狙いは普段のテレビショッピングではできない商品を直接触って確かめることができる場を設けることによる既存顧客の購入動機の促進などのほか、普段はテレビショッピングやQVCとは接点のない層へのリーチにあるようだ。同社では初の取り組みとなったポップアップショールームだが、コンセプトや立地、SNSなどでのPR策が奏功する形で想定以上の来場者数となるなど盛況だったようだ。

 会場のイベントスペース「ZeroBase表参道」の1階と2階の2フロアを使って同社通販専門チャンネルで紹介・販売する商品の中から、「デイジーク」などの韓国のメイクブランドや美容家のIKKOさんが監修する韓国の化粧品ブランド「サイムダンプレミアム」、同社の売れ筋の化粧品ブランド「ジェイアベックトワ」といった化粧品のほか、「ReFa」の美容ブラシといった美容機器など約20ブランド、40点程度の商品を展示。1階ではQVCが割引価格で当日最も拡販を強化する「TVS」や当日限りで割引価格で販売する「TP」の商品などを日替わりで展示。2階は売れ筋の化粧品などを展示した。なお、会場建物の上部の大型モニターには期間中、QVCの生番組を配信、放送した。

 来場者はすべての展示商品についてテスターやサンプルを試すことができるほか、展示商品の横にはQRコードを表示した商品説明板を設置。会場では物販は行わないが、気になる商品があった来場者は当該QRコードをスマートフォンで読み取ることでQVCの通販サイト内の当該商品の販売ページへアクセスでき、商品の特徴などを説明文や動画などで確認でき、購入もできるという流れだ。

 今回、展示商品に化粧品・美容機器を選んだ理由については同社が販売する商品カテゴリーの中で化粧品や美容機器などを含めた「ビューティー」カテゴリーは前年の売上構成比で20・2%と最大のシェアで、かつ同カテゴリーの売上伸長率も直近3年間で約11%増となっていること。また、商品の試着などが不要で購入しやすく、化粧品の購入者がアクセサリーやアパレルといった他の商品カテゴリーへと購入を広げていきやすいというデータがあることなどから、「お客様にとって訴求力が高く、QVCらしさを感じて頂けるカテゴリー」(伊藤淳史CEO)としてまずは展示品を化粧品・美容機器にすることにしたという。

 ポップアップショールーム開催は同社では初の取り組みとなったものの、開催中に来場者へ無料ハンドマッサージサービスや化粧品のプレゼント(先着順)などを行い、顧客の来場を促したほか、メールマガジンや公式SNS、特設のウェブサイトなどで事前告知を行った。また、開催期間中の9月8日の午前11時からQVCのチャンネルで放送した「ReFa」の美容ブラシ「イオンケアブラシアース」を紹介する番組中に「QVCウェルネスサロン2023」の会場と中継を結んで、現地の同社ナビゲーター(司会者)がショールームの概要の告知や会場に展示している「イオンケアブラシアース」の紹介と「会場では実際に商品を試すことができる」というPRを行った。

 また、同社の公式インスタグラムでは「ヤーマン」の美容機器などを紹介するライブ配信を実施したほか、美容に詳しいタレントのMatt(マット)さんの公式インスタグラム上でMattさんが来場して店内や展示商品を紹介する取り組みを実施したことなどが奏功して既存顧客のほか、新規層の来場も多く、全体として想定を超える来場者数となったとする。「QVCを知らない方はもとより、テレビショッピングに懐疑的だった方などから『商品が試せるのは良かった』『良い意味でイメージが変わった』『インスタライブを見て来た』など、好意的なコメントを多く頂けた。体験型のポップアップショールームイベントは新しい試みだったが、非常に良い手応えがあった」(同社)という。

 同社ではコロナ禍の影響でここ数年はリアルイベントは実施していなかったが昨年10月にはそごう千葉店でポップアップストアを開設するなどコロナの収束が見えた昨年から徐々にリアル展開を開始しているようだ。今回のポップアップショールームについても既存顧客とのタッチポイント作りや新規層の取り込みなどを狙って、主に都市部などで「今後もやり続けていきたい」(伊藤CEO)としており、適時、様々な場所で期間限定のポップアップショールームを実施していくとしている。




24時間生放送再開、番組力強化へ

ジュピターショップチャンネル

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