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コロナ禍の反動減脱し堅調に<在京テレビキー局各社の上期TV通販業績> ロッピングライフなど増収で推移

2023年12月 7日 12:00

 在京テレビキー局5社が手がけるテレビ通販事業の今年度上期(2023年4~9月)の業績が出そろった。前年上期はコロナ禍に伴う巣ごもり消費増の反動減などで各社とも前年実績を下回るなど苦戦を強いられたが、今上期はコロナ特需の呪縛から脱してリッピングライフやTBSグロウディアは増収を果たした。また、売れ行き自体は順調ながら一時的な要因で減収となったところもあり、一部を除き、今上期は概ね堅調な推移をみせた。
 
売れ筋が売れ行きけん引し増収に 

 ロッピングライフの上期の総売上高は前年同期比6・8%増の82億7500万円。このうち、番組グッズなどのネット販売を含めた通販売上高は同5・5%増の80億6500万円だった。「新型コロナウィルス感染症の5類移行による行動制限の緩和等で経済活動の正常化が進み、消費者の購買意欲が戻りつつある」(同社)とし、上期累計で2億9000万円を売り上げた運動補助ボール「東急スポーツオアシス フィットネスクラブがつくった スタイリーボール」や安眠枕「西川 睡眠Labo ピローマット」(上期累計売上高2億3000万円)、口腔洗浄器「トゥースジェット」(同2億2000万円)、紫外線などから目を守る眼鏡「アイブレラ」(同2億円)、「マイヤーサーキュロンフライパンSP3点セット」(同1億8000万円)といった商品を中心に売れ行きを伸ばしたことに加え、通販カタログなど売り上げも伸び、前年上期の減収から一転、増収を果した。

 通販枠別売上高は主力の午前枠が前年同期比0・9%増の40億3000万円、深夜枠は同54・7%増の3億2300万円、BS枠が同3・5%減の5200万円、特番枠が同6・2%減の18億5200万円だった。

 テレビ通販以外のチャネルの売上高はカタログ通販が同9・7%増の6億1300万円、ネット販売は前年上期に売れ行きを伸ばした番組関連グッズの反動減で同42・7%減の1億3600万円、東京駅など都内で展開する実店舗はコロナ禍収束で客足が戻ったことで同116・2%増の1億9700万円と伸びた。テレビ朝日のテレビ朝日系列局の通販事業のフルフィルメント業務を請け負う系列局向け通販支援事業は同5・2%減の4300万円だった。

 上期の営業利益は原価率や販管費の増加が響き、同25・3%減の3億6000万円だった。

 なお、下期の出足は「前年並み」(同社)としており、通期の業績見通しについては「コロナ禍収束の兆しもあるが、戦争の長期化や物価高騰が家計に影響をおよぼし依然先行き不透明な状況が続くと思われる」(同)として前年並み程度を予想している。

美容健康商材不振14%減の2桁減収

 DINOSCORPORATION(ディノス)の上期の総売上高は前年同期比14・6%減の249億900万円。このうち、通販売上高は同15・1%減の230億1600万円でうち、テレビ通販売上高は同14・7%減の78億2300万円だった。テレビ通販の2桁減収の要因については「外出機会増加による消費需要の分散の影響」(同社)としており、これまで売り上げをけん引してきた美容健康カテゴリーの商品の売れ行きが伸び悩んだようだ。

 上期の売れ筋は調理用品「レンジメートPROグランデ」や収納圧縮袋「スピードキューブDX」、シャワーヘッド「リファ ファインバブルピュア」などだった。

 下期の出足については「足もとの状況は非回答」(同社)としている。親会社のフジ・メディア・ホールディングスによればテレビ通販では下期に向けて番組別に組織を再編し、内容を強化していくほか、早朝深夜帯に放送する通販番組「ディノスTHEストア」の展開強化を図っていくとしている。

平日午前3分枠など好調で増収に

 TBSグロウディアの上期の総売上高は前年同期比20・7%増の150億3200万円で、通販関連事業を展開するショッピング事業本部の売上高は同18・3%増の78億9000万円。このうち、テレビ通販売上高(地上波とBS・CS局でのテレビ通販および系列局とのテレビ・ラジオの共同通販事業、番組およびアニメ関連のグッズのネット販売、卸事業などを含めた合計売上高)は同18・5%増の76億2300万円だった。4月から放送を開始した月~金放送の情報番組「ひるおび」内の3分の通販枠「ひるおびキニナルチョイス」が好調な売れ行きとなったほか、他のレギュラー枠も復調したという。また、親会社のTBSホールディングスによると「DVD収入の増加に加えて、展覧会事業とTVショッピングなどの一部がTBSテレビから移管された」という要因もあったようで、前年上期の2桁減収から今上期は増収に転じた。上期の売れ筋は目元専用美容器具など。また、上期中にTBS系で放送したドラマ「VIVANT」の関連商品の「VIVANT饅頭」がヒットしたとしている。

 上期の営業利益は5億5000万円(前年同期は2億6500万円の損失)だった。

 今期の業績予想については明らかにしていないが「若干の苦戦が予想されている」(同社)としている。

TV通販好調も食品頒布会不振

 テレビ東京ダイレクトの今上期の総売上高は前年同期比1・1%減の55億7900万円。このうち、通販枠の販売や管理などを行う通販提携事業売上高(同5・3%減の1億7900万円)を除く主力の生活雑貨通販事業のカタログ通販を含むテレビ通販(同3・3%増の28億6300万円)とネット販売(同1・3%増の9億8400万円)の合計売上高(同2・8%増の38億4700万円)と食品通販事業(同3・0%減の10億4800万円)、宿泊予約事業(同15・5%減の1億9800万円)、テレビ東京の番組関連グッズのネット販売および店舗販売事業(同7・0%増の2億9100万円)、その他売上高(1億1200万円)などをあわせた通販関連売上高は同0・1%減の54億円だった。

 第1四半期は伸び悩んだものの夏場から雑貨や寝具、運動用品など定番の売れ筋を軸に売れ行きを堅調に伸ばし、主力の生活雑貨の通販事業は前年実績を上回って推移したものの、コロナ禍での売れ行き増の反動減や期初の番組改編でBSテレ東で週2回放送していた30分枠のゴルフ用品の通販番組「ゴルフ天下!たい平」が週1回となってしまったことなどの影響で近年、売れ行きをけん引してきたゴルフ関連用品が伸び悩んだこと。また、食品通販「虎ノ門市場」で一定の売上シェアを占める頒布会で顧客の利便性向上のために一昨年からキャンセルをしやすくした施策の展開によって期間途中でのキャンセルが増えたことに加えて展開商品のマンネリ化によって売り上げが落ち込んだことが影響した。

 上期の売れ行き上位商品は窓に張り付け日差しを防ぐ「遮熱クールアップ」(上期累計売上高3億円)、「軽量コードレス洗浄機」(前期累計売上高2億5000万円)、除湿剤「調湿木炭出雲屋炭八」(同1億9300円)、マットレス「エアウィーヴ」(同1億7800万円)、運動補助ボール「東急スポーツオアシス スタイリーボール」(同1億6600万円)、「ファイテン 磁気治療足裏サポーター」(同1億5700万円)などだった。このほか、9月に発売した首掛け式のワイヤレススピーカー「快テレ君」などの新商品の売れ行きも伸びた。

 なお、上期の営業利益は原材料高騰や食品通販におけるネット販売への先行投資などによって同32・8%減の2億7000万円となった。

 下期の出足となる10月度の売上高は雑貨、食品とも計画値は未達だったものの前年実績を上回ったという。10月から新たなにテレビ東京で毎週金曜日の午前10時台に生活雑貨を販売する枠、BSテレ東で毎週土曜日の午前7時半からゴルフ用品を販売する番組「ゴルフ天下!たい平」をそれぞれ増やしたほか、すでに上期から展開しているテレビ東京と連携した情報番組型の通販番組や通販特番を下期も放送していくことなどで売れ行きを伸ばし、通期業績は売上高、営業利益とも前年実績を上回りたい考えだ。

仮想モールの出店休止影響し減収に

 日本テレビ放送網の上期の通販売上高は前年同期比9・0%減の36億5000万円だった。4月から主力枠が紐づく情報番組が刷新した影響などで出足は苦戦したものの夏以降は持ち直して上期の同枠の売り上げは前年実績を上回ったが、基幹システムの入れ替えの影響で仮想モールの出店を5月上旬まで一時休止したことなどが影響し、上期トータルの売上高は前年同期を下回って推移した。

 期初の番組改編で月~木午前帯の主力の通販枠が紐づく午前帯の情報番組がリニューアルしたことで通販枠が情報番組内のコーナーとしての展開ではなく、当該番組後の10分尺の独立番組「日テレポシュレ 三ツ星モール」となったことで出足は視聴習慣などの影響から売り上げは伸び悩んだものの、前番組の視聴者をつかむために番組冒頭に出演者同士の掛け合いで紹介商品の訴求力を高めるなどの演出面の工夫が奏功。また、調理器具「レンジメートプロ」や掃除用具「ecomo回転モップクリーナーDUO」、脱毛器「シャインエステボーテ3」、補正下着「骨盤ショーツ」といった売れ筋商品や寝具などが軸となって売り上げをけん引したほか、6月から日テレグループの限定品としてグループの日テレ7やBS日テレ、また、系列局の読売テレビの通販子会社のセンテンスとともに発売したコードレス掃除機「ダイソン マイクロ モーターバー」がヒットしたことなどによって、主力午前枠の上期の売上高は前年同期の実績を上回って推移した。

 一方、日本テレビで9月にスポーツの国際大会を放送したことで同月の通販枠分数が前年同月比3割減となった影響などで早朝・深夜枠の売上高は前年同期比では下回った。7月に放送した通販特番も振るわず売上高は同4割減と苦戦。BS日テレで放送するインフォマーシャルも計画的に放送枠を減らしているため売上高は前年実績を下回った。

 また、ネット販売売上高は日本テレビの通販サイト「日テレ屋web」は人気番組のイベントと連動した関連グッズなどの売れ行きが好調で売上高は前年比で3割増となったものの、「楽天市場」や「ヤフーショッピング」など各仮想モール経由の売上高は前期末に実施した基幹システムの入れ替えのために3月から5月上旬にかけて各出店店舗を休止、同期間中の売り上げがなくなったことで仮想モール経由の上期売上高は前年同期比で3割強の減収となったことなどで、主力通販枠は堅調だったもののトータルでは減収となった。

 利益を表す「収支」は基幹システムの入れ替えや4月から受注業務の委託先変更などで一定の期間、重複業務が発生したことによるコスト増や同じく4月から配送委託先を変更して配送委託費が増えた影響で同33・6%減の1億5200万円となった。

 なお、下期の出足は順調で10月度の主力の午前枠の売上高は前年同月比を上回って推移。仮想モール経由のネット販売売上高も堅調という。引き続き、売れ筋商品を軸に売り上げを伸ばしていくほか、深夜帯で今夏から開始した動画配信やSNSと連動した新コンセプトの通販番組でネット販売売上高の拡大などを推進したり、日テレ7やBS日テレなどグループ会社の通販部門と連携した商品開発や通販番組の展開、札幌テレビ放送の通販子会社であるエス・テー・ビー開発センターやセンテンスなどの系列局との通販事業での連携の強化・推進も図っていく考えで売上高は85億円程度、収支は5億円台を目指す。
 
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