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Jahfic NMDBの利用規約改定、「1月末期限」に届出企業混乱

2024年 2月 1日 12:00

 機能性表示食品制度の活用に問題が生じている。健康食品の科学的根拠の多くを網羅する「ナチュラルメディシン・データーベース」(NMDB)の権利を持つ日本健康食品・サプリメント情報センター(=Jahfic)が12月31日、利用規約を改定。NMDBを引用した制度活用に入会や使用許諾申請を求め始めたためだ。期限は1月31日。事業者からは「さすがに猶予期間が短すぎる」と怨嗟の声が上がる。

 NMDBは、オンライン版と書籍がある。書籍など関連の刊行物は、従来から制度への活用が不許可。「オンライン版」は最終製品のみ使用許諾申請を免除してきた。

 利用規約の改定では、使用許諾申請の免除を1月末に廃止。届出に関連した利用を、協会会員限定のサービスに変更した。

 NMDBの利用には、Jahficへの入会や利用内容に基づく同意書の提出、事前の使用許諾申請が必要になる。利用は製品や原料単位で求められており、入会金や年会費、情報利用料などを含め、数十万から数百万に及ぶ可能性もある。機能性表示食品の販売社は届出期間中、会員を継続することが前提。使用許諾のない利用が判明した場合は、届出日以降の利用期間に対して無断使用料(1製品あたり年額1万3200円)も加算する。

 NMDBは、米国で編纂された健康食品に関する研究論文を評価・精査し、科学的根拠を網羅する(日本語対応版は、「健康食品・サプリのすべて ナチュラルメディシン・データベース」)。このため、制度活用では、原料メーカー、製造者、販売社など多くの事業者が健康食品の安全性等に関する科学的根拠でNMDBを引用・参考に届出を行ってきた。

 国立健康・栄養研究所(国立栄研)が運営する「『健康食品』の安全性・有効性情報『素材情報データベース』」もNMDBを引用し、届出企業に利用されてきたが、22年6月に利用規約の範囲を超え許可なく情報を掲載していたことが発覚。昨年3月、利用を休止しNMDBの引用情報を削除したほか、責任者に対する処分を行った。

 わずか1カ月で事業者に回答を求めることに、制度を活用する事業者からは戸惑いの声も聞かれる。

 一方、NMDBの権利はjaficが保有しており、使用許諾など利用規約の変更に関する権利も持っている。

「むしろこれまで無断の利用を許容して緩い運用をしていただけ」(関係者)との指摘もある。

 消費者庁による制度設計の問題もある。機能性表示食品制度の検討では、研究論文の著作権問題について時間を割き、議論が深められることはなかった。届出ガイドラインでは著作権の問題をクリアにすることが求められているが、一方で制度は届出資料をサイトで誰もがアクセスできる形ですべて公開する建てつけになっている。仮に事業者がJahficの使用許諾を得て届出を行っても、サイト公開は、「公衆送信権」など著作権法上の問題に関わる可能性がある。

 機能性表示食品は、食品表示基準に定められているもので食品表示法上の規定もない。このため、法律上の適用除外などの対応も取りにくい。
 
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