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「楽天市場との連携に成果」【木下春菜シニアマネージャーに聞く 「ラクマ」BtoCの近況】 ジュエリー系商材に注目

2024年 2月22日 12:00

 前回に続き、楽天グループが運営するフリマアプリ「楽天ラクマ」でリユース事業者などが出店する「ラクマ公式ショップ」の現状について、ラクマ事業部BtoC&AD事業課の木下春菜シニアマネージャーに聞いた。

                                                                         ◇

 ーー昨年9月からは、ラクマでの買い物が「楽天スーパーセール」や「お買い物マラソン」の買い回り対象となった。

 「MAU(月あたりのアクティブユーザー数)が顕著に伸びている。エンタメ・ホビー関連の店舗が扱う書籍やトレーディングカードとの相性が良い。ラクマにおける期間中の合計購入金額が1000円以上であれば、セール中の合計購入金額におけるポイント倍率がプラス1となるので、低単価商材が売れやすい。また、楽天市場と違って『送料込みライン』となる3980円も関係ないところがユーザーに支持されているのではないか」

 ーー店舗へのサポート体制は。

 「楽天市場の強みでもあるコンサルタント体制の良い部分と、消費者に対応するカスタマーサポート体制の良い部分をハイブリッドしている。楽天市場に比べると運営人員が少ないが、コンサルタントも営業マンも、消費者インタビューを担当している。また、公式ショップ専属のマーケターが事業者に対応したり、開発プロデューサーやエンジニアが、事業者とZOOMで会話しながら、新機能に関する意見を聞いたりしている。例えば、営業は店舗の方ばかり向いて仕事をしがちだが、消費者の声も聞くことで、それを店舗へフィードバックすることができる。役職を超えて事業者・消費者双方に向き合う体制を敷くことで、営業・開発トータルで事業者をサポートしている」

 「特に重視しているのは出品部分。多くの事業者は他モール展開をしているし、全国に実店舗を出店している企業も珍しくない。ECにおける新品の商流よりも在庫管理と出品管理が複雑なので、そこはプラットフォーマーとして支えなければいけない。事業者の要望、システムベンダーの要望、双方を聞いた上でラクマとしてのスタンスを決めて開発している」


 ーー事業者にはどんなアドバイスをしているのか。

 「コメント欄を使ってほしいという提案や、商品説明文を仮想モールと同一ではなく、フリマらしい書き方にしてほしいといった提案をしている。例えばハッシュタグを活用したり、『この商品はこんなアイテムと合いますよ』といった定性的なコメントをしたり、といったものだ」

 ーーラクマのコンサルタントは楽天市場のECコンサルタント出身が多いのか。

 「半々くらいだ」

 ーー楽天市場とラクマ双方に出店している事業者も少なくないと思うが、住み分けはできているのか。

 「ラクマは楽天市場に比べてメイン顧客の年齢層が低く、リユース品に対する抵抗感が少ない。また『欲しいものがあるときはまずは中古で探す』というユーザーを抱えている。さらには個人からも法人からも買えるという点も大きなベネフィットだ。事業者からも『楽天市場とは顧客層が全然違うし、売れる商品も違う』という声をもらうことが多い。リユース企業にとっては、どちらにも出店するメリットはあるのではないか」

 ーー今後伸びそうな分野はあるか。

 「ジュエリー系の商材が伸びはじめている。特にダイヤモンドは、鉱山の閉鎖で供給が減少するとみられているので、消費者が関心を持ちはじめているのではないか。アクセサリー関連では、新品仕上げに対応した事業者のビュー数が伸びている。新品仕上げは一般出品者にはできないことなので、事業者にアドバンテージがあるのではないか」

 「今回の『ラクマショップ・オブ・ザ・イヤー』においても、新品仕上げや商品の状態に関する説明を丁寧にしている事業者が受賞したという印象がある。在庫数の多さや運営規模の大きさ以外の部分で勝負できるという点で、面白いカテゴリーだと思う」


 ーー事業者からは機能改善に関してどんな要望が出ているか。

 「出品・取引周りに関する要望が多い。中古は一品ものなので、他モールと在庫を共通化している関係上、欠品が大きな課題となっている。ラクマのシステムAPI改善はもちろん、ベンダーと協議しなければいけない部分もある」

 ーー今後の取り組みや目標は。

 「集客力を高めるために、公式ショップのSNS開設を準備している。マーケティングの観点では、これまでは運営側主体のクーポン施策がほとんどだったので、店舗が企画・実施できるような機能も準備している。公式ショップの商品だけではなく、一般出品者の商品も含めて、ブランド品とアパレルを安心して買ってもらえるプラットフォームにするため、日々進化させていきたい」(おわり)
 
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