商慣習の違い

2011年08月03日 18:35

2011年08月03日 18:35

▼新興のネット販売事業者との取引をまとめた某大手食品卸の担当者。いざ契約書を取り交わす段になって、ネット販売事業者側の言葉に耳を疑った。「この甲と乙って何ですか?」

▼これまでメーンに取引をしてきた店舗小売業とは、契約書を取り交わすのが当たり前。だが、このネット販売業者にとっては、それまでのメールでのやり取りが契約書で、書面を交わすという概念がなかったのだという

▼流通業界では、GMSやコンビニ、ドラッグストアなど、新たな業態が生まれ、その時代の顔となってきた。そして今、新たな流通の顔となりつつあるのがネット販売だろう

▼実際、GMSなどチェーン小売業では、ネット販売を強化しており、東日本大震災の影響で店頭から消えた食品や飲料などを求め、消費者が通販サイトに殺到した。すでにネット販売は、生活必需品の購入場所と認知されつつあり、今後、消費者の購買行動も変わっていきそうだ

▼新業態が出てくるたびに変革を求められてきた食品等の卸。今その流れはネット対応にあり、卸にとってネットは、店舗小売業に対する必須のリテールサポート機能となり、専業のネット販売事業者も看過できない取引先となっている。流通業界の変化の波に晒されてきた食品等の卸が、店舗とは文化の違うネットの世界でどのように存在感を示していくのか、今後の動向が注目される。

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