有力各社のおせち商戦、初速は順調な立ち上がり 小型・大型とも動きよく

2025年10月02日 10:29

2025年10月02日 10:29

 今年のおせち商戦の出足は各社とも堅調なようだ。今年はコスパを意識したり、少人数でも食べ切れる小型おせちや高級な食材をふんだんに使った贅沢なものや大人数用の大型おせちという消費の二極化に応じたおせちも、それぞれ人気となっているようだ。有力事業者のおせち商戦の出足や売れ筋の傾向などを見ていく。


百貨店各社堅調な出足


 まずは百貨店各社の状況を見ていく。

1002102948_68ddd58c457bb.jpg 大丸松坂屋百貨店のおせち商戦の初速はECチャネルが前年比4・1%増と比較的順調に推移しており、関西、東海エリアが好調という。

 長引く物価高の影響で節約志向が高まる中、大切な人と笑顔が咲く新年を迎えてもらいたいという思いを込めて「笑顔咲く、ハレの美味」をテーマに、大容量かつコスパを重視する人向けの〝お値打ちおせち〟や、ハレの日だから贅沢気分を味わいたい人向けの〝贅を味わうおせち〟など、消費の二極化に応じた商品をはじめ、顧客ニーズに合わせたさまざまな商品を展開する。

 同社によると、おせちのEC市場に参入する企業が増え、消費者の選択肢が広がったことで、従来以上にECチャネルでも「他社にないおせち」に人気が集まる傾向があり、インスタなどSNSのフォロワーが多い料理研究家とのコラボおせちなどは、ECとの親和性が高く、今後も伸びしろが期待できるとする。

 店頭顧客は特別企画のエリア限定おせちの人気が高いことは従来から変わらないものの、全国配送可能な冷凍おせちの需要が高まっている。

 ECチャネルで販売するおせちは約1300SKUで、EC売り上げは前年比5・4%増を目標とする。

 自社ECでの販売に加え、今回はふるさと納税の返礼品やポイント交換サイトにカタログ掲載商品を一部出品する予定だ。

 この数年で急速に伸びている冷凍おせちについては、同社オリジナル企画の取り扱い数を過去3年で約2・8倍に増やしている。今回は昨年同様の18SKUだが、その中でも好調に推移している4人前以上の商品を前年の4SKUから8SKUに増やした。

 商品の差別化を図るため、世界的ソムリエの田崎真也氏を監修者に迎えたフレンチフルコースの冷凍おせちを開発。カタログ内では田崎氏がおせちに合うおすすめワインも提案しており、ワイン好きな人を含めて新規顧客開拓につなげる狙い。

 また、今年のおせち商戦では、日本の食の魅力を発信する目的で、地産地消の商品2種類(北陸おせち、九州おせち)を新たに展開している。

1002103042_68ddd5c21be96.jpg 高島屋は一番人気のおせちでプレミアム版を開発し、限定価格での先行販売に手応えを得ているようだ。

 年末年始が最大9連休の大型連休となることから、年末も年始も楽しめるバラエティ豊かなおせちを展開する。高島屋全店の店頭で約900種類、オンラインストアでは通販限定の250種類を加えた約1150種類のおせちを用意する。

 受注はオンラインストアが8月20日と9月19日に分けてスタート。店頭は9月24日から予約販売を開始した。

 年末のカウントダウンパーティーで楽しめる洋風オードブルをはじめ、肉づくし、蟹づくし、ちらし寿司がお重に入ったおせち、有名パティシエが手がけるおせちなどをラインアップ。さらには単身世帯や核家族化の増加に着目した「ソロ活おせち」や、物価高とコスパを意識した1万円以下で楽しめる「ミニマムおせち」などを提案する。

 通販チャネル限定で展開している、1マスずつ中身を選ぶことで価格も自分で決めることができる毎年人気のカスタマイズおせちについては選べるメニューを増やして臨む。

 また、今回は通販で17年連続売り上げ1位のオリジナルおせち三段重のプレミアム版を新たに開発。既存顧客にDMを送り、限定価格で先行販売して良い反応を得ているようで、客単価アップにつなげる狙い。

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