アマゾンの生鮮品ECで品ぞろえを強化 Oisixの取扱を再開、カフェで独自メニュー提供しPR

2025年10月02日 10:13

2025年10月02日 10:13

 アマゾンジャパンが直販による生鮮品や日配品などを含むEC即配サービス「Amazonフレッシュ」の品ぞろえや拡販を強化している。9月16日からライフが展開する有機野菜などを使った食品ブランドやオイシックス・ラ・大地の冷凍食品および加工食品などの取り扱いを新たに開始。あわせて同日から新規追加した商品などの購入者に購入額の1割を独自ポイントで還元するキャンペーンの展開や都内に「Amazonフレッシュ」で販売する食材を使った料理を提供する期間限定カフェを開設し、来店者にSNS投稿を促すなどして認知アップと利用促進を図っている。同社のいわゆるネットスーパーサービスは各地域の有力スーパーと連携してほぼ全国で展開しているが、東京・神奈川・千葉・埼玉の一部地域に限定して展開する「Amazonフレッシュ」の強化で最大商圏である首都圏での利用拡大を図り、売り上げおよびシェアの拡大を進めたい考えのようだ。


1002100926_68ddd0c647ea5.jpg 9月16日から「Amazonフレッシュ」での展開商品として新たに食品スーパー「成城石井」の加工食品や冷凍食品、同じくスーパー「ライフ」が展開する有機野菜などの使った食品ブランド「LIFE BIO‐RAL」の調味料や茶など、オイシックス・ラ・大地が展開するブランド「Oisix」の冷凍商品など数百点を追加した。「成城石井」の商品は以前から取り扱ってきたが、「BIO‐RAL」の取り扱いは初めてとなる。また、オイシックス・ラ・大地の商品は「Amazonフレッシュ」がサービスを開始した2017年当初は生鮮品などを供給していたが、その後は取引を中止。今回、「(「Amazonフレッシュ」の)ビジネスも大きくなってきて、色々な条件があうようになった」(Amazonフレッシュ事業本部の宮下純リテール事業部長)として以前のように生鮮品の供給ではないものの、冷凍食品で取引を再開したという。

 今後も顧客ニーズが高い商品群の品ぞろえを強化していきたい意向。「お客様へのアンケートの結果からは野菜や精肉などの生鮮品へのニーズが高い。冷凍技術も新規していることもあり冷凍食品も人気だ。色々なお客様の反応やニーズを見ながら、また、お客様から期待値が高い品質にこだわりながら、人気の商品や季節性のある商品を『Amazonフレッシュ』の一カ所で購入できるようにして利便性を高めていきたい」(宮下部長)とする。

 今回の品ぞろえに合わせて9月16日から「Amazonフレッシュ」のサイトでキャンペーン「選りすぐりブランドフェア」を10月3日まで実施する。新規に取り扱いを始めた「成城石井」「BIO‐RAL」「Oisix」の食品を対象に購入者に購入額の10%分を独自ポイント「Amazonポイント」で還元するもの。

1002101022_68ddd0fed85ca.jpg 加えて、「Amazonフレッシュ」の認知アップを図るため、東京・港区内の商業施設「麻布台ヒルズ」内のカフェ「麻布台ヒルズカフェ」を9月26、27日の両日を借り切り、今回、新規追加した食品を含む「Amazonフレッシュ」の取扱商品をすべて使った料理を提供する「Amazonフレッシュカフェ」を2日間限定で開設した。提供するメニューはタレントの橋本マナミさんが考案した「鯖スモークとパクチーのイタリアンサラダ」(1200円)や「桜海老としらすとルッコラのペペロンチーノ」(1500円)のほか、「豚肩ロース肉のソテーバルサミコソースがけ」(1600円)、「バターチキンカレー」(1400円)、「クロワッサンサンドイッチ」(1300円)の5品となる。

 店内には「Amazonフレッシュ」で販売する食品の一部を展示したほか、提供したメニューのレシピを記載した「Amazonフレッシュ」のサイトに誘導するQRコード付きのメニュー表、カフェ内で撮影した写真などをSNSへの投稿を促すPOPなどを設置し、来店客にアピール。新規利用者の開拓やSNSを通じたPR効果を狙う考え。

 アマゾンは17年に都内の一部でスタート「Amazonフレッシュ」を開始した当初は同社単独でネットスーパー事業を展開していく腹積もりだった模様だが、有料会員に限定し、その有料会員費とは別に月額費を徴収する強気のサービス設計などが逆風となったせいか、思うように利用者が伸びなかった模様で、規模拡大のためのサービスエリアの拡充もままならない状況となっていたよう。なお、現状の展開地域は東京、神奈川、千葉、埼玉の一部エリアにとどまっており、年会費もすでに撤廃、サービス対象も有料会員限定ではなく、一般顧客全般に広げている。

 自社単独展開に見切りをつけたアマゾンは19年からライフコーポレーションと連携してサービスを開始して以降、21年からは中京圏を中心に展開するバローホールディングス、22年からは成城石井、23年からは北海道や東北などで展開するアークス、昨年9月からは北部九州で展開するマルキョウを傘下に持つリテールパートナーズ、そして今年5月からは東北を中心に展開する伊藤チェーンと連携し、各地域のスーパーマーケットとアマゾン内の専用ページで受注し、各地の対象実店舗から商品を店舗のスタッフがピッキング、梱包してアマゾンの契約配送事業者が店舗周辺地域の顧客宅に配送する形の事業展開を「Amazonネットスーパー」というサービス名称で展開し、規模拡大を急いでいる。関東や関西、中部、北海道、東北、九州の一部地域でネットスーパーを展開できようになり、アマゾンのネットスーパーはほぼ全国をカバーし終えたことになる。

 今後は売り上げ拡大および競合とのシェア争いに注力していくことになりそうだが、ポイントの1つはやはり最大商圏である首都圏の攻略で、それには直販サービス「Amazonフレッシュ」の強化が欠かせないわけだ。品ぞろえやサービス品質、配送料などライバルひしめく首都圏でのネットスーパーサービスでどう利用者を増やしていくのか。「Amazonフレッシュ」の今後の動きが注視されそうだ。

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