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ケンコーコム、"インフラ企業"の基盤確立へ

2011年 5月26日 11:36

 ケンコーコムは今期(2012年3月期)、自社をライフライン企業と位置付けたビジネス基盤の強化に取り組む。東日本大震災の発生による顧客への商品供給の混乱を受けたもので、東京の本社機能の福岡への移転やシステムのクラウド化、関東の物流センター移転などの体制整備を推進。前期は、持続的な成長と利益のバランスをテーマに各種施策を展開したが、市場の低迷や震災の発生などの影響で十分な成果が得られない点もあった。今期は、震災後の体制を早期に軌道に乗せ、成長路線を目指す構えだ。

 ケンコーコムが今期のテーマとして、まず掲げているのは「ライフライン企業としての責務を果たす」こと。先の東日本大震災では、受注商品の配送遅れや宇都宮の物流センターが被災し、業務を一時停止せざるを得なかったことなどから、有事に備え安定的に商品を供給できる体制を整える。

 具体的な施策としては、米国の子会社などを通じたグローバルな商品調達の推進や宇都宮の物流センターの移転など。グローバル商品調達は、先の震災でメーカーなど国内の取引先が被災し、水や食品など必需品の確保難しくなったことを踏まえ、海外からの輸入商品を拡充するもので、すでにミネラルウォーターでも実績がある。さらにシリアルや洗剤、乾電池などへ取り組みを広げている状況で、同社としては、他サイトにはない輸入商品による差別化で、価格競争からの脱却を図る狙いもあるようだ。

 また、宇都宮にあった物流センターについては、すでに千葉県市川市に移転を完了。これにより顧客の半数が所在する首都圏でのサービス向上を図るとともに、有事の際に安定的な商品供給が行えるようにする。

 次に掲げるテーマは、「震災後体制への迅速かつスムースな移行」で、具体的な内容は、福岡への本社機能の一部移転やシステムのクラウド化など。何れも、有事に備えたリスクヘッジを主眼としたもので、「東京と福岡の2カ所でオペレーションをする体制を整え、首都圏で震災があった場合でも、業務を継続できるようにする」(後藤代表)。

 また、第3のテーマとして、売り上げの拡大と固定費の抑制による「低限界利益率でも利益が出せる体制作り」を挙げているが、賃料や人件費の安い福岡への一部本社機能の移転や自社運営システムからクラウド化への移行により、固定費の低減を図る考え。コストの削減効果については公表していないが、「現在、10%以上ある固定費の抑制を考えると、将来的に効いてくる」(同)と見る。

 このほかに「アジアマーケットへのビジネス展開」のテーマでは、中国での日本商品の卸およびネット販売の展開に向けた準備作業を推進。今期中にも事業をスタートさせたい考えだ。
 まず、今期は、震災後の業務の正常化を最優先課題と位置付け、今夏までに一連の対応を完了させる考え。その上で、健康関連情報を活用や、ソーシャルコマースの展開など、売り上げの拡大に向けた取り組みを積極化させる方針だ。
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