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新社長に聞く、百貨店通販次の一手 JFRオンライン・榎本朋彦社長

2011年 6月30日 18:02

021.jpg今年3月1日、カタログ通販が主力の大丸ホームショッピング(HS)はグループの大丸松坂屋百貨店が運営する化粧品通販とリユース品のネット販売事業を吸収し、新たに「JFRオンライン」としてスタートを切った。これまでアプローチできなかった顧客層との接点を求めてネット販売などの強化に乗り出す榎本朋彦社長に戦略骨子などについて聞いた。(聞き手は本紙記者・神崎郁夫)

紙媒体のテコ入れに重点、マルコレ改革は〝背水の陣〟

―通販事業のテコ入れを託された。
 「昨年1月にJフロントリテイリング傘下の通販事業を管掌し、再編・統合を任された。9月には当社前身の大丸HSの社長となり、半年経った今年3月に大丸松坂屋百貨店のネット販売事業を分割吸収してJFRオンラインを発足させた」

―百貨店からネット販売を離した目的は。
 「百貨店とネット販売では業務のあり方がまったく違うし、成長機会を逃さないためには意思決定のスピードが非常に大事だ。投資の優先順位を考慮しても百貨店から独立したほうがいいと判断した。ただ、店頭商材を扱う大丸と松坂屋の通販サイトは百貨店と切り離せない部分があり、当社が百貨店のサイト運営を受託する形をとった」

――社名をJFRオンラインとした。
 「名前は社内公募で決めた。"オンライン"としたのは、文字通りネット販売が成長に欠かせないツールであることと、顧客とのつながり(パイプ)をイメージした」

―新会社の舵取りは。
 「当社の基幹はカタログ事業だ。百貨店通販サイトの受託分を除けばカタログの売上高が95%を占めている。この屋台骨をグラつかせてはいけない。今期はカタログのテコ入れが重点課題。売り上げがそれほど伸びなくても、一定の利益を出せるようにする」

――どこから着手する。
 「カタログ通販は仕事の仕方を大きく変える。トップダウンによる仕事のあり方を改め、各スタッフが責任をもって動けるようにする。現状は顧客分析やコールセンターの対応力強化など土台固めに取り組んでいるところだ。当面は小さな変化を積み重ねることが大事。カタログは大きく伸びる分野ではないが、今のシニア層にはフィットしている」

――新規顧客の開拓は。
 「従来、大丸HSの顧客は関西圏が主力だ。今後、百貨店を出店している地域での顧客開拓を進める。具体的には、名古屋や北海道、首都圏を強化する。昨年、松坂屋のお膝元、中部圏で折込みを打つときに『大丸松坂屋通信販売』としたことで、反応が良かった。現在も名古屋への折込みは継続している」

――一方でネット販売の強化は。
 「ウェブについては基盤が脆弱で、いったん潰して作り直すくらいの気持ちが必要だ。基幹のカタログがしっかりとしているうちに手を打つ」

――化粧品のマルコレをウェブ事業に転換した。
 「マルコレ事業は独り立ちしないといけない。これまでのようにカタログを発刊しながらネットを強化するやり方では、ウェブビジネスとしての成長は限定的だ。このため、カタログを廃止してウェブに特化した。カタログをやめることで既存顧客とのコミュニケーションツールを失うことは分かっていたが、退路を断つ覚悟で決めた。ウェブで生きていくことの意思表示でもある」

――その影響は。
 「マルコレ事業の売上高は10年2月期の約4億3000万円に対して、前期は約3億3000万円だった。前年下期からカタログ発行部数を半減させたことが響いた。今上期も売り上げは厳しい数字となりそうだ。
 ただ、今年3月に基幹システムや物流、フルフィルをすべて切り替えた。5月にはモバイルサイトの開設やウェブ上で肌診断のコンテンツを立ち上げるなど、これまでにないスピードで取り組んでおり、ウェブ事業の素地はできつつある」
(つづく)

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