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「食べログ」にやらせ投稿、口コミの信頼性揺らぐ

2012年 1月15日 21:59

価格比較サイト大手のカカクコム(本社・東京都渋谷区、田中実社長)が運営する人気グルメサイト「食べログ」で、飲食店から金銭を受け取って好意的な口コミを書き込み、ランキングの順位を押し上げる「やらせ業者」が活動していることが分かった。同社では業者に不正行為の停止を要請するとともに、法的措置を検討。口コミ投稿の監視などで不正を排除する方針だが、根本的な解決は難しく、ネットにおける口コミや商品レビューそのものの信頼性が揺らぐ事態となりそうだ。
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カカクコムによると、やらせ業者から「食べログへ好意的な口コミを多数書き込んでランキング順位を上げる」といった営業を受けたという通報が、昨年1月に飲食店からあったという。同社の調査では、業者は39社に上る。なお、価格比較サイト「価格.com」で同様の業者が横行している可能性について、本紙の質問に同社は回答していない。

 同社では、業者に「やらせ」の中止を要請、応じない場合は法的措置も検討するという。また、「価格.com」開設時から行っている口コミ投稿の全件監視により、不自然な口コミを特定し、削除する方針。さらに、恣意(しい)的なランキング操作を防ぐため、ランキングの仕組みを変更するとしている。

 ただ、こうした対応ではやらせを完全に防ぐのは難しく、やらせとは判別しにくい内容で投稿するなど、業者がより巧妙な手段を使う可能性も高い。「食べログ」のアカウント取得条件を厳しくするといった対策は、投稿数の減少につながるため、導入しにくいとみられる。同社ではこうした対策の導入可否について、本紙の質問に回答していない。

 口コミを利用したやらせに違法性はあるのだろうか。消費者庁では昨年10月、口コミ情報を自ら、もしくは第三者に依頼して掲載する際に「著しく優良または有利であると一般消費者に誤認されるものである場合には、景品表示法上の不当表示として問題となる」との見解を発表している。

 これは、例えば実際には地鶏を使っていないのに「地鶏がおいしかった」と書きこむなど、事実とは違う内容の口コミが不当表示にあたるというものだ。ただ、「とてもおいしい」というような投稿はあくまで「感想」であるため、取り締まることはできない。

 消費者庁表示対策課では、今回の「食べログ」問題について、「優良誤認させる口コミがあったとすれば問題になる」とする。つまり、やらせ自体が景表法違反となるわけではなく、口コミの内容如何(いかん)というわけだ。

 また、高い点数を付けてランキングの順位を操作した件については「ランキングを作っているのは事業者(飲食店)ではなくカカクコムであるほか、点数が示すものがはっきりしないため、問題とするのは難しい」(表示対策課)。店に付けられる点数が「料理の味」なのか「(価格や量などの)サービス」なのかが切り分けられず、「優良誤認」と「有利誤認」のどちらにあたるかも判別しにくいためだ。

 現状では今回のようなやらせの口コミや、広告と消費者に知らせず、口コミにみせかける「ステルスマーケティング」を取り締まるのは難しい。

 とはいえ、こうしたやらせが横行すれば、消費者の口コミへの信頼は大きく低下するだけに、各事業者には、口コミの透明性確保のための対策が求められる。


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