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新規顧客獲得数こそネットを中心として順調に推移し、過去最大の176万人を記録したものの、売り上げは伸びず、利益率も悪化した。
カテゴリー別の売上高をみると、家具・インテリア他が前期比9%増だったのに対し、アパレルは同2%減。計画未達となった要因はアパレル関連にある。
利益面で最も影響を受けたのは仕入れコストの増加だ。特に、素材価格が想定以上に高騰した。綿花相場は、10年2月の68セント(1ポンド)から、11年3月には220セント(同)まで上昇。現在は落ち着いたが、11年盛夏・秋・冬カタログで扱う商品は、高騰した状況で値決めせざるを得なかったという。加えて、中国の委託工場の人件費増や、在庫処分も原価上昇の要因となった。
さらには、11月が高温で推移したことで受注が減少。気温が下がった12月中旬以降は持ち直したものの、秋冬号の女性アパレルの売り上げが影響を受けた。
アパレルの不振に加え、リピート率も前期から1ポイント減の56・1%に悪化。これは、中計で想定していた数字(59・3%)とは大きくかけ離れてしまった。
こうしたことから、売り上げは想定通りに伸びず、新規獲得費用とカタログシステム費用が重荷となり、結果的に販売固定費の増加につながったわけだ。仕入れコスト増や季節要因は一時的なものとみることもできるが、深刻なのはリピート率の悪化だ。佐村社長は「ネットのライバルとの競争に負けている」と原因を分析する。
楽天市場やスタートトゥデイの「ゾゾタウン」といった競合の売り上げが伸びており、ニッセン会員の中でもネット販売企業と比較する消費者が増加。「価格や品揃えで負けている」(佐村社長)ことがリピート率悪化につながった。同様に、ネットの競合に押されていた家具・インテリア分野では、2年前にネット販売企業に価格を合わせる方針に転換。売り上げ増につながるなど「成果は出ている」(同)という。
もう一つの対策は、ニッセンに不満を持って離れる顧客を減らすことだ。同社の調査によれば、同社で買い物をした消費者のうち、8・3%が「ニッセンに不満があって(次年度に)購入しなかった」、34・7%が「特に理由はなく(次年度に)購入しなかった」という。合計して43%が「リピートしなかった顧客」となるわけだが、この8・3%をできる限り減らすことが求められる。
「商品の素材イメージが違う」「品質が悪い」「在庫がない」「納期が遅い」「検索がしにくい」といった不満の声を分析し、強化すべきポイントを設定。検品費用の増加などコスト面では負担は増すが、佐村社長は「離脱顧客を大きく減らすことができれば、業績向上にもつながる」と強調する。(つづく)