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JFRオンライン、店頭との相互送客開始へ――百貨店サイトで通販商材も

2012年 4月26日 19:27

 Jフロントリテイリング傘下の通販部門を統合し、昨年3月にスタートを切ったJFRオンライン。初年度は大丸と松坂屋の百貨店通販サイトの運営受託に伴う増員や投資もあってわずかに黒字化はならなかったが、売り上げは主力のカタログを中心に堅調な出だしとなった。

 前年比4・4%の増収だったカタログは新客開拓が順調に進展した。知名度が高い関西以外に顧客基盤を広げる目的で、「大丸・松坂屋」を冠した新聞折込みチラシを百貨店のお膝元で強化。愛知県は上期から、下期には首都圏や札幌、昨夏に店舗を閉じた長崎でも実施した。ただ、通販カタログを本格的に配布するには至っておらず、今後は"折込み依存"からの脱却も必要という。
 一方、通販カタログのウェブサイト「Dモール」は規模こそ小さいものの、震災2週間後に飲料水などの防災・備蓄需要に対応した企画を立ち上げるなど機動力を発揮したことも奏功して、売り上げは3割近く伸びた。

 運営受託する百貨店通販サイトの取扱高は下期が前年同期比12%増と大幅に伸長し、通期でも約6%増だった。とくに、デパ地下の人気スイーツを集めたコンテンツを下期にスタート。ウェブ上に大丸東京店の洋菓子売場を再現し、店頭を歩き回る感覚で買い物を楽しめる「バーチャルスイーツショップ」がけん引役となったようだ。

 従来、デパ地下商材はギフトカテゴリーの中にあったが、スイーツコーナーが定着。集客につながるコンテンツとなったことで取り扱い商材も増えたほか、販売面では中元・歳暮以外の月の底上げにつながったという。

 今期からは、次の成長ステージに向けて新たな取り組みもスタート。カタログでは、百貨店店頭との連携に着手する。

 第一弾として、通販カタログと客層が近い大丸京都店でトライアルを始めた。JFRオンラインが京都エリアに配布する新聞折込みチラシに京都店の案内を入れたり、京都店が顧客に配布している冊子にJFRの紙媒体を同封するなど相互乗り入れすることで、コストを抑えながら見込み客にアプローチする。

 今後、京都店をモデルケースに同様の取り組みを全国へ広げていくのと同時に、店頭と共通のコミュニケーション誌も発刊したい意向だ。

 ウェブ事業は、今年3月に大丸と松坂屋の百貨店通販サイトを統合。新たに「大丸松坂屋オンラインショッピング」としてスタートしてからも前年下期の増収傾向は続いているという。

 今期以降は、百貨店の店頭商品の販売だけでなく、通販商材を販売するステージに踏み出す。まずは食品など、いくつかの商品ジャンルでトライアルするが、利幅の薄い食品分野では独自商材の開発も必要になりそう。

 ただ、JFRオンラインの仕入れ部隊はウェブ事業が置かれている東京ではなく、カタログを手がける神戸に集中しているため、人員配置も含めたもう一段の再編も視野にあるようだ。

 百貨店通販サイトの取扱高を含めたウェブ事業の売り上げは2012年2月期が約35億円。同社では早急に50億円規模に育てたい考えで、独自商材の開発に加え、百貨店の華でもあるファッションも含めた総合通販のサイトを目指す。

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