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ヨドバシカメラのネット販売、早期に売上高1000億円へ、サービス拡充で利用促進

2012年10月 4日 09:43

ヨドバシカメラ(本社・東京都新宿区、藤沢昭和社長)の2012年3月期ネット販売事業の売上高は、前期比3・6%減の342億8400万円だった。11年6月に購入金額によらず送料を無料にするキャンペーンを開始。8月からは注文した商品の当日配送サービスを導入した。当初は大幅な売り上げ増を見込んでいたものの、薄型テレビの苦戦により売り上げを減らす結果となった。ただ、当日配送サービス対象地域を順次拡大するなど、引き続きサービス拡充を進めており、今期は20%前後の増収を見込んでいるようだ。
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 同社では昨年、配送面でのサービスを拡充するとともに、CDやDVD、ブルーレイなどの品揃えを大幅に拡大。同社実店舗での取扱全商品を販売する形となった。こうしたサービスや品揃えの拡充は、ネット売り上げで大きく先行するアマゾンに対抗したものだ。

 価格面でもアマゾンを意識した値付けを行っている。ただ、同社の藤沢和則副社長は「(アマゾンが)値付けの比較対象となるケースは多いが、価格だけで対抗するわけではない。ネットで売った方が良い商品と店で売った方が良い商品をきちんと分けて、ネット・店舗の特性を活かした売り方をしていきたい」と話す。

 例えば、店ではデジカメで撮った作例写真を販促に使うにも枚数に限界があるが、ネットであれば多数掲載できる。同社はカメラ・写真用品に特化した通販サイト「「フォト・ヨドバシ・ドット・コム」を運営しているが、同じ一眼レフデジカメでも、使用するレンズによって写真に違いが出てくることを分かりやすく示すには、ネット活用が最適というわけだ。逆に、スピーカーやヘッドホンのような商品は、店舗で売るのに向いている。

 また、7月にはSNS「ヨドバシコミュティ」を開設。ヨドバシの店舗や通販で購入した商品の感想を投稿するとポイントが付与されるというものだが、商品購入直後だけではなく、使用開始からしばらく経過した時点での感想も投稿可能となっており、そのたびにポイントが与えられるのが特徴だ。

 家電製品などは、購入直後では商品の効果や良さなどが分からないことがあるため、使い続けるうちに当初の感想とは変わってくる場合もある。他の通販サイトにはないレビューシステムだが、藤沢副社長は「消費者に当社を選んでもらうためのきっかけになれば」と話す。

 ここ数年、同社の通販売上高はやや伸び悩んでいるが、藤沢副社長は「通販サイトのサービスレベルは、消費者に評価してもらえるものになりつつあるのではないか。自然に売り上げは伸びていくはず」と自信を見せる。今期の売上高は計画を上回るペースで推移しており、同社の旗艦店「マルチメディアAkiba」並みとなる売上高1000億円は早期に達成したい考えだ。

 同社の場合、大都市の駅前に店舗が限られるため、地域を限らない通販は重要なツール。当日配送可能な地域を拡大していけば、未出店地域に在住する消費者の取り込みもしやすくなる。

 藤沢副社長は「ヨドバシになじみのない地域もまだまだある。消費者に『1回使ってみよう』といかに思わせるかがポイントだろう」と話す。


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