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JASK 都が〝注意喚起〟要望、運営ポリシー発表し連携強化

2012年12月 7日 17:41

 日本アフィリエイト・サービス協会(JASK)は11月28日、アフィリエイターの禁止行為を規定した運営ポリシーを発表した。運営ポリシーは、東京都の要望を受けて策定したもの。不正行為への対策を強化することでアフィリエイト広告の信頼性向上を図り、業界の健全発展を目指していく。

 運営ポリシーは、東京都福祉保健局が今年6月に行った「平成24年度インターネット広告に関する薬事法上の意見交換会」で、JASKにアフィリエイト広告の対応強化を要望したことを受けて策定された。意見交換会は年1回行っているもの。オブザーバーとして総務省や厚生労働省が参加している。これまで国内のプロバイダ事業者やネット関連事業者を招き行ってきたが、JASKを呼んだのは今回が初めて。今後、連携強化を図り、ネット上に氾濫する違法広告の取り締まりを強化していく。

 今回出された運営ポリシーは、広告を行うアフィリエイターの禁止行為を規定したもの。景品表示法や薬事法、金融商品取引法、貸金業法に抵触する恐れのある行為を例示して説明している。

 例えば、アフィリエイト目的のくちコミ記事では、混紡の商品を「綿100%」と表示する行為が景表法上の優良誤認にあたること、化粧品に関するアフィリエイトリンクの掲載時には「この美容液でシミが消えます」などと表示することが薬事法に抵触することなどを注意喚起している。

 JASKは2006年に発足。当初7社でスタートしたが、ウェブシャークや途中加盟したセプテーニ・クロスゲートなどが退会し、現在はアドウェイズ、インタースペース、バリューコマース、ファンコミュニケーションズ、リンクシェア・ジャパンの5社で運営している。

 【運営ポリシー】
(1)アフィリエイトサービスの登録時の禁止事項
(2)禁止サイトについて
(3)アフィリエイトリンク掲載時の禁止行為
(4)アフィリエイト目的のくちコミ記事においての禁止行為
(5)健康食品・化粧品に関するアフィリエイトリンクを掲載する時の禁止行為
(6)金融商品に関するアフィリエイトリンクを掲載する時の禁止行為
(7)クレジット・ローン等の貸金に関するアフィリエイトリンクを掲載する時の禁止行為
(8)その他禁止行為―の8項目について、禁止行為を例示するなどして説明している。

解説:行政も違法広告にお手上げ

 東京都福祉保健局がアフィリエイト広告に対する警戒心を強めている。未承認医薬品の個人輸入代行事業者により、アフィリエイト広告が悪用されているためだ。今年6月には日本アフィリエイト・サービス協会(JASK)にアフィリエイト広告の管理強化を要望。これを受けてJASKは運営ポリシーを発表した。ただ、違法性の高い広告を仲介する多くの事業者は協会に加盟しないアウトサイダー。行政サイドもお手上げの状況にある。

 「違法性の高いアフィリエイト広告が増えているので協会に注意喚起をお願いした」。東京都は今年6月、年1回、ネット関連事業者を招いて行う「インターネット広告に関する薬事法上の意見交換会」に初めてJASKを呼んだ。要望の内容は「広告する末端(=アフィリエイター)の指導は難しいので、広告主が広告素材を提供するところで仲介事業者にきちんと審査してほしい」というものだ。

 警察庁生活安全局も12月4日、「総合セキュリティ会議」の第2回会合を開催。JASKやインターネット広告推進協議会を招き、ネット上の悪質な販売行為の実態把握に取り組み始めている。

 行政や警察当局が問題視するのは、健康被害が懸念される未承認医薬品の個人輸入代行を行う事業者によるアフィリエイト広告の悪用だ。薬事法第68条(承認前の医薬品等の広告の禁止)では当然、広告が禁止されている。代行業務を行う際も、事業者が商品表示を行うこと自体が広告と見なされる。完全一致の検索が可能なページをトップ画面に配置し、あくまで"受動的"に代行業務を行う必要がある。ただ、実際にはネット上で商品表示を行う事業者が氾濫している。これら悪質事業者の顧客誘引に悪用されているのがアフィリエイト広告だ。

 取り締まりが難しい理由は、その複雑性にある。広告主、仲介事業者、アフィリエイターの3者が介在するアフィリエイト広告は、ネット上で広告かくちコミか判断しづらい。仮に広告と判断できても、3者のうち誰が主体的にその広告を行ったかの判断も難しい。

 さらに海外法人が日本語のサイトを開設し、商品表示している場合、もはや打つ手がない。明らかな薬事法違反だが、国内法の規制対象外になる。厚労省ではメールなどでサイトの修正や削除を要望するが、返答があるケースはほとんどないという。プロバイダーが加盟するテレコムサービス協会にサイト削除を要請することもできるが、これも国内のプロバイダーを利用していた場合に限られる。

 2011年から警視庁や各道府県警察は国際刑事警察機構(ICPO)による薬事法の一斉摘発に参加してはいる。ただこれも摘発が行えるのは、各国の法規制の範囲内。世界共通の特例法がある麻薬や、偽造医薬品であれば対応も可能だが、海外法で適法であれば薬事法上、違反であっても海外法人を取り締まることはできない。

 東京都は「まずは協会に加盟する事業者にお願いして、今後、協会に加盟しないアウトサイダーへの対処を考えていきたい」と話す。JASKによる運営ポリシーの発表もこうした背景があるが、アウトサイダーへの対応策が見出せない限り、ネット上から違法な広告を駆逐するのは難しい。

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