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医薬品ネット販売検討会、議論急ピッチで進展も、厚労省も危機感?

2013年 4月29日 14:35

厚生労働省が設置した「一般用医薬品のインターネット販売等の新たなルールに関する検討会」(ルール検討会)で、医薬品通販・ネット販売のルール作りの議論が急ピッチで進められる可能性が出てきた。4月19日開催の第6回会合では、前回会合で事務局が提示した論点案の修正内容などについて協議。薬業・医療関係の慎重派委員からネットと対面の優劣論を蒸し返すような発言があったのに対し、座長の遠藤久夫学習院大学経済学部教授が本筋の議論に軌道修正するよう要請するほか、ネット関連の推進派の委員からは議論の進め方に関する意見が相次いだ。遠藤座長および推進派委員は、具体的なルール作りの議論を進めたいもようで、政府の規制改革会議が医薬品ネット販売に関するルールの検討を進める中、事務局の厚労省も遅々として進まない議論に危機感を抱いているようだ。

 事務局が提示した論点案の修正版では、前回会合での各委員からの指摘を受け、言い回しや表現、構成などを見直すとともに、國領二郎委員(慶応義塾大学総合政策学部学部長・教授)から指摘のあった一般用医薬品のリスク区分・分類に応じた情報提供などの機能に関する検討内容、増山ゆかり委員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)から発言のあった消費者の自己責任に関する検討内容などを新たに盛り込んだ。

 修正版の論点案は、項目立ての見直しにより、7項目から5項目となったが、各項目の検討内容は多岐にわたる。これまでの遅れを取り戻すためには議論すべきテーマを絞る必要があるが、この部分では一般用医薬品の安全性確保策に関する項目に含まれる12点の具体策のほか、しばしば発言があったネット販売での情報提供やコミュニケーション機能がポイントになる見込み。

 事務局でも論点案とは別に「リスク分類ごとの情報提供等の機能に関する考え方について」と題した資料を作成しており、同資料をたたき台に議論が進められることになりそうだ。

 第6回会合では、事務局が実際に医薬品ネット販売を行うサイトの情報提供などの対応に関する資料を提示するほか、後藤玄利委員(日本オンラインドラッグ協会理事長※JODA)および國重惇史委員(新経済連盟顧問)が医薬品ネット販売での情報提供方法や薬剤師の関与、購入プロセスに関する資料を提出。

 この部分で踏み込んだ議論には至らなかったが、今後の議論に向けた布石として具体事例を示した形で、JODAの後藤委員は、さらに具体的な議論のたたき台となる資料を提出する用意があるとの考えを示した。

 推進派委員からは、このほかにも議論の進め方に関する意見が出されたが、その中で岩瀬大輔委員(ライフネット生命保険副社長)は、事務局が作成した情報提供の考え方に関する資料を活用。資料の各事項について、薬業団体の委員に対面販売での対応を聞きながら、ネット販売でルール化した場合、義務にすべきか努力義務にすべきかを振り分けるなど、具体的な議論の進め方を例示した。

 今回の会合では、論点案が整理され、より効率的な議論の進め方に関する意見も出されたことから、次回以降、さらに踏み込んだ議論が進められると見られる。

 特に、5月末で離島居住者や継続利用者を対象に第2類医薬品の通販・ネット販売を認める経過措置が期限切れとなること、政府の規制改革会議でも医薬品ネット販売のルールに関する検討を進めているといった状況から、各委員の間でも、早期に具体的なルール作りの議論に入らなければならないという意識が強まっているもよう。これは、遠藤座長の議事進行にも表れている。

 とりわけ危機感を募らせていると言えるのは事務局の厚労省だ。実際、最高裁判決で省令による医薬品ネット販売の一律規制が違法と判断された上、経過措置も再延長せざるを得ない状況。さらに6月下旬に予定する規制改革会議の検討結果公表に遅れをとるようなことになれば、とんでもない大失態になる。

 経過措置については、年内一杯まで再延長する省令の見直しに関するパブリックコメントの募集を4月15日から開始するなど対応に乗り出しているが、規制改革会議の動きに対する意識も強く会合終了後、同省の事務局担当者は、6月の中下旬頃を検討会の結論出しのデッドラインと考えていることを示唆した。

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