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臨床研究の法規制  健食にも"段階活用"、「未承認薬」認定後に対象へ

2014年11月20日 09:57


 6-1.jpg厚生労働省が学術目的で行われている臨床研究に法規制を導入することを検討している(1486号既報)。健康食品業界にはどういった形で法規制が絡むのか。

 規制がかかるのは、未承認の医薬品や医療機器に関する臨床研究について。新薬として承認される際に必要な臨床研究は、すでに薬事法で規制されているが、学術目的の臨床研究はこれまで倫理指針があるだけだった。

 まず、関係するのは食品の新たな機能性表示制度。制度では、臨床研究をベースに製品の機能性評価を行う選択肢がある。その際、厚労省が進める臨床研究の法規制を念頭に置く必要はあるだろう。食品を対象にした規制ではなく、罰則の対象でもないが、臨床研究のあり方を示すベースとなる規制であるためだ。

 もう一つは、健康食品で医薬品的な効果をうたい「未承認薬」とみなされた場合。この場合は、法規制の対象になる。

 行政の規制手法を知る手がかりとなる最近の事例が、「強命水 活」を販売していたエーイーエムを巡る薬事法違反事件だ。

 摘発に際し、長野県警は、厚労省が出した医薬品の広告に関する通知(「インターネットによる医薬品等の広告の該当性に関する質疑応答集について」の「Q5」)を拠りどころにした。

 通知では、例えば「(販売サイトを)紹介するサイト」「販売サイト」があった場合、紹介サイトから直接リンクを貼らなくても、2つのサイトの運営者が同じであれば、紹介サイトの表示も販売サイトと同一とみなし表示を規制する可能性があるとしている。

 エーイーエムのケースは、効果をうたいながら商品名を載せない「体験談サイト」、体験談サイトにリンクしていない「販売サイト」を同一とみなし、体験談サイトに載せた効果を薬事法違反の疑いがあるとした。

 食品である強命水に医薬品広告の規制の考えを当てはめた上で、「未承認薬」と2段階で認定したことになる。順番が逆にも感じるが、似た解釈の例は過去にもある。

 同じように、健食が「未承認薬」と認定された場合、「例えば、ある食品でがんへの治療効果を調べる研究を不正に行い、そのデータをもとに効果をうたう広告していた場合。未承認薬とみなし、さらに研究内容でも規制を受ける可能性がある」(厚労省医政局研究開発振興課)とする。

 「未承認薬」は広告をしたり、無許可販売の時点で「3年以下の懲役または300万円以下の罰金(または併科)」。対して「臨床研究規制」の罰則は行政指導や改善命令を経て、罰金のみを科す方針。運用までのステップや認定にかかる労力、罰則の重さを考えると「未承認薬」の規制で対応すれば十分で、すぐ臨床研究の規制まで踏み込むとは考えにくい。

 とはいえ、悪質な事例があれば、規制の対象は「未承認薬」を売った販売者だけでなく、その広告や販売を研究面でサポートした研究者や研究機関に及ぶことになる。
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