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楽天 幻冬舎とウェブ雑誌、出版社とのコラボ拡大へ

2015年 4月17日 10:17

041.jpg 楽天は4月14日、幻冬舎(同・東京都渋谷区、見城徹社長)と共同で、スマートフォン向けの無料ウェブ雑誌を創刊した。幻冬舎の雑誌「GINGER(ジンジャー)」のウェブ版という位置付けで、20代後半から30代女性を対象に、仮想モール「楽天市場」のファッションアイテムを約400点掲載。商品をタッチすると楽天市場の商品ページに移動する仕組み。楽天では今回のウェブ雑誌の反響を見ながら、出版社とのコラボ事業を拡大したい考えだ。

 ウェブ雑誌の名称は「GINGER mirror(ジンジャーミラー)」。ページ数は100ページで、楽天市場の出店店舗が販売するオリジナル商品を中心に、約400点を掲載している。紙媒体と同様に特集を組み、モデルやライター、デザイナーなどスタッフも紙媒体と共通しているのが特徴。楽天市場のスマホ版トップページや雑誌・GINGERで新媒体の発行をアピールする。

 スマホ経由の場合、商品単価はパソコン経由よりも500円から1000円程度安いことから、価格が1万円を切るものを中心にセレクトした。雑誌の公開期間は1カ月で、次号は6月末の発行を予定。定期刊行となる見込みだが、季刊か隔月かなど発行間隔についてはまだ決まっていない。閲覧数や売り上げといった目標は非公表だ。

 掲載する商品は、楽天が推薦したアイテムから選ぶ場合のほか、幻冬舎が雑誌の企画に合致した商品をモール内で探して掲載する場合もある。商品が載った店舗からは、システム利用料以外にも紹介料を基本的に徴収する仕組み。なお、売り上げから幻冬舎への配分などのビジネスモデルは明らかにしていない。

 雑誌はウェブブラウザーから閲覧する形式で、スワイプすることでページがめくれる。ページ内では「商品詳細ボタン」を押すとポップアップが開き、モデルが着用しているアイテムすべての詳細を確認することができる。さらに「詳しくはこちらへ」をタップすると、楽天市場の商品ページに遷移、商品が購入できる。

 商品が掲載される店舗はウェブ雑誌からの導線を確保できるのが最大のメリット。雑誌ではプロのカメラマンやライターが商品を紹介するほか、雑誌内では別の店のアイテムとのコーディネート提案を行うため、まとめ買いが期待できる。

 両社では、楽天市場の出店店舗と雑誌・GINGERとの共同開発商品を楽天市場内で2010年から販売しており、売り上げは好調に推移。「GINGERのブランド力や商品のクオリティーの高さもあり、リピート率や購買への転換率が非常に高い」(河野奈保執行役員)という。また、楽天市場ではモバイル流通が拡大しており、特にファッションジャンルのスマホ利用者のうち、70%が女性で、特に20~30代が多いことから、スマホ向けウェブ雑誌の創刊を決めた。

 幻冬舎の片山裕美女性誌事業部部長は「最近は『時短』と『コストパフォーンス』にこだわる読者が増えている。雑誌の商品セレクト力や提案力と楽天市場の利便性を合わせることで、紙媒体よりも読者に近い新しいメディアができると考えた」とウェブ雑誌創刊の背景を説明。「ファッションをテーマにしたウェブ雑誌は多いが、ここまで紙媒体の世界観をスマホから見られるように再現したものは初ではないか」とした。

 現段階では雑誌・GINGERとは企画や掲載商品は異なるが、今後は共通の商品を掲載する計画もあるほか、読者の需要によってはGINGER mirrorの紙媒体発行も考えているという。

 また、楽天では「雑誌は(記事や商品セレクトなどの)クオリティーが高く、企画力もある。一方で物を売ることについては楽天がすぐれており、異業種が組むことで新しいビジネスモデルができるのではないか」(河野執行役員)とコメント。今後は反響を見ながら出版社との取り組みを強化する方針だ。
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