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楽天市場の安全対策とは① 偽サイトを検索から排除

2016年 4月21日 10:07

2014年1月に「品質向上委員会」を立ち上げ、仮想モール「楽天市場」の健全化を進める楽天。近年は、有名通販サイトに見せかけるなどして消費者から注文を受け、実際には商品を発送せずにカード情報や代金をだまし取る「偽サイト」や盗まれたクレジットカード情報を使った不正注文などが社会問題となっている。同社ではどのように対処しているのか。塩原聡事業運営室室長が明かした。

 楽天市場の偽サイトに悩まされてきた同社。偽サイトはSEOを用いて検索上位に表示させ、集客するという手法を使う。塩原聡事業運営室長によれば、15年4月に検索サイトで調査したところ、「楽天」のワードでは約15%が偽サイトだった。さらに、楽天とブランドや商標との組み合わせ、例えば「楽天+MONCLER(モンクレール)」で検索した場合、なんと偽サイトが約90%を占めていたという。その他にも、多くのブランド・商標での検索において、正規ページよりも偽装サイトが多く表示されていた。

 情報を盗み取る手口も巧妙化している。例えば、カード決済画面ではセキュリティーコードを入力させているほか、本人認証サービス「3Dセキュア」のパスワードを入力する画面まで設けている。いずれも楽天市場の正規サイトでは入力することはない。

 事態を重く見た同社では対策を本格化。基本は「ユーザーが検索しそうなワードを入力し、人力で確認すること」(塩原聡室長)。毎日、2000~3000の偽サイトが見つかったという。「偽サイトはゴキブリのようなもので、1つ見つけたら100あると思った方がいい」(同)。当該サイトに警告文を日本語・英語・中国語で送付、さらには銀行口座を調べるために調査購入を行う。

 重要なのは集客ルートを絶つこと。こうしたサイトのアドレスを検索サイトに申告し、検索サイトから排除するほか、セキュリティーベンダーに情報を提供。ベンダーが対策すれば、ユーザーが仮に当該サイトのリンクをクリックしてもブロックされるため、被害を未然に防げる。

 偽サイトは海外のサーバーを使っているため、サイトの運営を止めるのは難しい。しかし、こうした地道な対策が奏功し、今年に入ってからは偽サイトが検索結果に現れなくなってきた。今年1月24日現在では、楽天と有名ブランド(モンクレール、トリーバーチ、レイバン、シャネル、グッチなど)の組み合わせ検索した際の偽サイト出現率は0%になった。これは、競合サイトで同様の組み合わせで検索をした場合と比較すると、軒並み低い数字となっている。


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