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コックス「オムニ化への挑戦とEC強化策」 店頭受取の運用力が向上、EC限定ブランドも

2017年 6月 1日 10:20

041.jpg イオングループで衣料品専門店を展開するコックスは、オムニチャネル化やEC強化を軸にした"デジタリゼーション"を推進している。

 実店舗とECの連携面では、昨年4月にショップブログを刷新して商品マスターとの連携を開始。ブログのコーディネートコンテンツや新着記事に自社通販サイト「コックス公式オンラインストア」(画像)の商品画像も表示して、ECで購入しやすくした。

 また、ウェブ上で気になった商品を最寄りの店舗で試着できる「店舗受取サービス」を展開しており、前期(2017年2月期)は運用のブラッシュアップに努めた。

 同社では商品が指定の店舗に届いてから10日間の保管期間を設定しており、「店舗受取サービス」利用者の大半が店舗に来店し、商品購入につながっているようだ。利用者は気になる商品の色やサイズ違いを含めた複数点を取り寄せ、ぴったりの商品を購入するケースも多いほか、試着した商品が合わない場合はスタッフが別の商品を提案するなど、店頭の接客力を生かせるが強みだ。

 同サービスは全ブランド、全店が対象のため、例えば20~30代のカップル向けブランド「ヴァンスシェアスタイル」の商品を主力ブランド「イッカ」の店舗で試着することもできる。また、決済は店頭で行い、売り上げも店舗に計上されるため、リアル店舗の協力も得やすいことから、今後もオペレーションを磨いていく。

 また、実店舗ではEC送客用のチラシを用意して自社通販サイトのイベントを告知する取り組みも実施。リアルとネットの併用客を増やすことで顧客生涯価値の向上につなげる。加えて、同社は倉庫内に撮影スタジオを設け、ささげ業務を内製化していることから、ECのビジュアルや表現を店頭のPOPなどに反映させることで、リソースの有効活用はもちろん、店頭とECの打ち出しを統一している。

 同社では、今後もリアルとECの連携を強化。商品を効率的に売り切るための在庫循環の仕組みを構築する考えで、欠品時の商品引き当てについても「精度とスピードを高めて実店舗とECでシームレスに行っていく」(小嶌和之マーケティング本部デジタリゼーション推進グループマネージャー)としている。

EC独自施策も

 コックスは、EC売上高を17年2月期の約11億2000万円に対し、今期は16億円、3年後の20年2月期には30億円を目標に掲げており、今期からの新3カ年ではEC限定ブランドで売り上げの底上げを図る。

 この一環として、前期から「コックス公式オンラインストア」に新しい売り場として「トウキョウデザインチャンネル(tdc)」を開設した。自社ブランドはアパレルや雑貨を軸に展開しているが、「tdc」は"デザインで生活を豊かにする"をコンセプトとし、既存の商品カテゴリーにとらわれずに顧客の嗜好に合ったアイテムを提案するが、同時に新客の開拓にもつなげたい考え。現状はインテリアや家電、キッチン用品などを扱っており、店頭では買えない特別感を打ち出す。

 アイテム数は約400点で、品ぞろえを大幅に増やすよりも、商品の入れ替えも含めてサイトコンセプトに合致した商品を充実させる。商品は一部買い取りもあるが、リスクの少ない受発注型を強化していく方針だ。

 また、最近では新規ブランド開発の新たな試みとしてオンライン限定ブランド「ノッチ」を始動した。4月下旬から自社通販サイトで販売を開始し、5月18日にはスタートトゥデイ運営の「ゾゾタウン」にも出店して本格スタートした。

 新ブランドは20代女性をターゲットに、トレンドからニュースタンダードまで"今欲しいアイテム"を買いやすい価格で提案する。ブランド独自のサイズラインアップや品ぞろえを充実させるほか、インスタグラムなどのSNSを活用してブランド、商品情報を発信。コーデアプリ「ウェア」を利用したコーデ提案を強化するという。

 コックスはEC限定ブランドの売上高を今期に5000万円、来期は1億5000万円、20年2月期に2億5000万円を掲げているが、「tdc」の売り場をベースとしており、今回の「ノッチ」は同計画に含まれていないという。

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