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【イーベイジャパンの佐藤丈彦戦略本部長に聞く Qoo10の強みと今後の課題】 「若年層」や「越境」で優位性、人材流出を防ぐ仕組みも

2019年 3月28日 18:10

 仮想モールの「Qoo10」を手がけるイーベイジャパンは2月、戦略本部長に佐藤丈彦氏が就任し、次の成長ステージに向けた新たな戦略展開を開始している。越境ECビジネスを運営するイーベイ・ジャパンの社長も兼任する佐藤氏が目指す、仮想モール市場での勝ち残り策やQoo10独自の強みについて話を聞いた。



 ――2月に戦略本部長に就任した。

 「私自身、『越境EC』という言葉が生まれる前からイーベイ・ジャパンで12年ごろから日本と海外をつなぐビジネスを行ってきたが、そことも融合させることでよりオポチュニティを日本市場に持ってくることができると考えている。

 この先は少子高齢化で人口自体が減少し、海外からの移住者を受け入れながら人口増加を図っていくことも考えられる。そうすると日本市場も多様化してくると思うし、今後、色々なセグメント化が進むという点で、もしかしたら高齢者だけをターゲットにしたECが出てくるかもしれない。その意味では、セグメント化された中でどれだけ強みを出して行けるかが重要。まだまだ先の話だとは思うが、そうなった時に外国人や若い人から見るとQoo10やイーベイ・ジャパンは強みを出して行けると思う」


 ――具体的には。

 「現在の利用者は20~30代の女性が多く、実はこの層の開拓が中々難しいところ。そこに強みがあることが勝ち抜くためのツールになる。また、越境ではイーベイグループ自体で約12億個の在庫がある。そのすべてが日本市場に投入できて売れるというわけではないとは思うが、世界中にあるユニークな物、海外から購入した方が良いものがたくさんある中で、まだQoo10とのシナジーが出せていないので、今後その仕組みを作っていくことで強いプラットフォームになると思う」

 ――そのためにも開発を支える人材の確保などは重要テーマになる。

 「これは今どのプラットフォームでも頭を悩ませている問題だと思うが、人材募集をかけても5~10年前と比べて本当に大変。(求職者が)企業を選ぶ立場に立っているので、企業がどれだけ自社を魅力的に見せるのかということ。いくら良いビジョンやビジネスモデルを持っていたとしてもそれを支える組織がないといけないので、ここの部分はしっかり進めていかないといけない課題」

 ――対策としては。

 「Qoo10の場合は知名度でまだまだの部分もあり、これから攻めていく面では余白があるというプラスにはなるが、人材確保の面では浸透がもっと必要になる。テレビCMを行っているのも、単に利用者だけでなく、市場に知ってもらうという重要な要素がある。

 また、人材流出を防ぐことも鍵。その点では、イーベイグループが以前から行っている『エンゲージメントサーベイ』を今年から導入した。これは年に数回、社員に上司や職場環境について社内アンケートを行い、その結果を集計して統計を取るというもの。社員が企業に対して満足しているかを重要視しているので、上司やマネージャー陣だけの報告に頼らないで、環境整備をしている」


 ――回答結果はどのような形で共有するのか。

 「回答は無記名で、誰が答えたか特定できないよう一定数以上の部下からの回答があった上司は、結果を見ることができる。この結果は、例えば私だとイーベイジャパン、その上のAPAC、さらにその上のイーベイグループ全体の平均値など、グループ内の全社員がどのレベルでどれだけ満足しているか統計がすべて数字で出てくる。仮に上司側に問題があった場合、どのようなコーチングをしたら良いかのトレーニングが組まれることもある。ただ、これも前向きに捉えて、チームや環境を変えていけるかを考える機会にもなる。本当に良くできた仕組み」

 ――効果としては。

 「人材・育成の観点からすると、世界中にオフィスがある中でどこに時間とリソースをさけば組織力が上がるかがすぐ分かると思う。私の経験上、アジア系の人はあまり意見を直接言わないがこうしたサーベイがあるとしっかりスコアをつけてくれる。私たちもそこで察しながら、いかにグローバルスタンダードに合わせていくか頭を使うし、逆にこうしたスコアが出てくれることで社員の不満の声に気づかずに人が流出してしまうということが避けられている。

 通常、企業買収の直後は人が一気に流出するということもあるが、Qoo10の場合はそうしたことが起こらなかった。まだこのサーベイの導入前ではあったが、買収前から組織の中身を見て、イーベイグループが培ってきた人をしっかりと育てる文化や仕組みを導入したことが(既存)社員の満足度につながったのではと思う」 (つづく)


 
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