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小松製菓 逆転の発想でヒット、きれいなせんべい「あえて割る」

2019年 6月20日 15:00

 女性や子供においしさを知ってもらいたい――。伝統を守る老舗のせんべいメーカーが、既成の概念を壊す発想の商品でヒットを生み出した。展開するのは、南部せんべい「巖手屋」を運営する小松製菓。南部せんべいを使ったクランチチョコが想定を上回りヒットしている。クラウドファンディングを活用することで、若い世代にも認知を図っている。

 「南部せんべい」と言えば、知らない人はいない定番のせんべいだ。東北の旧南部藩発祥。約600年前から野戦食や保存食として食されてきた。ただ、高齢者に親しまれてきたものの、女性や子供には大きく、食べにくいなどの理由で浸透が遅れていた。

 その中で開発したのが、刻んだ南部せんべいを加えた「チョコ南部」だ。2009年の発売からこれまで、120万個(10粒入り)を販売。6月1日にはレモン風味のホワイトチョコで爽やかな味に仕上げた「夏限定チョコ南部」(=画像)を発売した。10粒入り(税込540円)のほか、20粒入り、2粒入りを販売する。

 発売に先駆け4月末からクラウドファンディング「Makuake」で先行予約販売を開始。スタートから約2週間で目標額(10万円)の約4倍の目標額を達成した。

 通販は、楽天やアマゾンの仮想モールなどで展開。フェイスブックやインスタグラムの広告で若い世代にリーチすることで、地域や性別、年齢を超え、認知を図っていく。9月には、せんべいで人気の高いえび味の「南部えびせん」も発売する。

 開発当初、社内では賛否があったという。きれいに焼き上げた良品をあえて割り、クランチチョコにするためだ。工場ではきれいに焼くための教育も続けてきた。

 ただ、東北では、実は、南部せんべいは煮たり汁物に使われるなどして愛用されている。「良品をあえて割る」という一見、理解に苦しむ新発想も、さまざまな形で食されてきた商品を見てきた地元メーカーならではの発想が生んだヒットといえそうだ。
 
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