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ニュースの断層、ヤマト運輸とDヤマザキ、宅急便取扱店契約締結

2010年 8月 8日 21:02

ゆうパック集客効果に見切り、CVS他社追随も

ヤマト運輸は7月26日、山崎製パン系のコンビニチェーン「デイリーヤマザキ」(DY)と取扱店業務契約を締結し、9月1日から系列の「デイリーヤマザキ」および「ヤマザキデイリーストア」で「宅急便」と「クロネコメール便」の取り扱いサービスを開始すると発表した。それまでDYでは「ゆうパック」の発送受け付けなどを行っていたが、取扱個数の減少が続き、店舗への集客効果が見込めないと判断。豊富なサービスメニューを持つ「宅急便」に乗り換えた形だ。

 デイリーヤマザキは、全国にコンビニの「デイリーヤマザキ」および「ヤマザキデイリーストア」を約1650店展開する中堅コンビニチェーン。もともと日本通運の「ペリカン便」を扱っていた関係で、7月1日からのJPによる宅配便事業統合に伴い「ゆうパック」として店頭での宅配便の取り扱いを行っていた。
 
今回、DYがヤマト運輸と「宅急便」の取扱店契約を結んだ理由は、集客効果の1点に尽きると言っていい。

 もともとコンビニでは、店舗集客力を高めるために様々なサービスを扱っている。コピーサービスや通販商品代金等各種料金の収納代行もその一例だ。宅配便の取り扱いも同様で、荷物の発送申し込みで来店した客が、店頭商品をついで買いするといった効果を期待しているわけだ。

 無論、この前提になるのは一定数以上のサービス利用が見込めることだが、2009年度のペリカン便」は前年比41・4%減。コンビニ店頭での発送申し込みも減少し、集客効果も弱まっていたと見られる。

 DYとしては、「ゆうパック」統合に伴う告知強化などで取り扱いの拡大も期待していたはずだが、統合直後に大規模な遅配問題が発生。これが「宅急便」へ乗り換えを決断する動機になったようだ。

 ヤマト運輸等によると、かなり前からDYと「宅急便」の取り扱いに関する協議を進めていたとするが、実際に両社が「宅急便」取扱店契約を結んだのは7月16日で、丁度、「ゆうパック」の遅配問題がひと段落した時期。「ゆうパック」取り扱いによる集客力効果に疑念を持つDYが、遅配問題で「宅急便」の切り替えを決断した。そう考えるのが自然な流れだろう。

 一方、DYの「宅急便」に乗り換えによる具体的なメリットのひとつは「宅急便」自体の取扱個数が堅調に増加していること。さらにサービス内容の豊富さがある。実際、DYが9月から扱うのは、「宅急便」(発払・着払)や「ゴルフ宅急便」「往復宅急便」「オークション宅急便」のほか、「クロネコメール便」、クロネコメンバーズ会員向けに提供する「宅急便 店頭受取りサービス」など。特に、増加傾向にある通販関連荷物の取り込みを考えた場合、コンビニ側にとって「店頭受取りサービス」は魅力的な集客ツールになるはずだ。

 現状、ローソンやサークルKサンクス、ミニストップ、am/pmなど有力コンビニチェーンが「ゆうパック」の発送取次ぎ等を行っているが、「宅急便」の取り扱いでDYが集客効果をあげれば、他チェーンが追随してくることも考えられ、コンビニ店頭での通販購入商品の受け取りがより広く利用される可能性もありそうだ。

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