TSUHAN SHIMBUN ONLINE

インターネット・ビジネス・フロンティア株式会社
記事カテゴリ一覧

有力通販企業の研究・ドクターシーラボ(下)――カギ握るは〝シニア層〟、健食・高級化粧品拡販へ

2010年10月 4日 10:18

 新たに策定した中期経営計画(中計)で3年後の年商を470億円と現在の売上高規模のおよそ1・5倍となる数字を掲げるドクターシーラボ。その計画達成のカギを握るのは間違いなく主力の通販事業だ。通販で目標年商である470億円の6割弱にあたる271億円を稼ぎ出す計画だ。

 可処分所得が高く、一旦、顧客化してしまえば他社製品に浮気しにくい「40代女性」を意識した製品開発や広告宣伝など、時節を巧みに読んだ戦略の妙で同社の通販事業は前期も引き続き、前年比3割増と高い成長力を維持している。

 とは言え、同社の成功の前に同様の戦略を採る競合他社も出始めており、ドクターシーラボの通販事業が前期までと同じように、いつまでも成長力を維持できるかは疑問が残る。しかし、同社ではすでに次の手を打ち始めているようだ。その1つとして挙げられるのは前回でも触れた「シニア層への深掘策」だ。



 「40代を意識した新規開拓施策を進めることで、50代以上のお客様を獲得することができた」。前期の増収ポイントについて聞くと、同社の小杉裕之財務部長はこう説明した。50~60代のいわゆる「シニア層」を獲得できたことは同社の通販を「次のステージ」に押し上げることを可能にしたと言えそうだ。つまり、より可処分所得が高く、より帰属意識の高い通販企業にとっては「有望な層」を軸とした拡販策が打てるからだ。

 そのことで特に伸びが期待できそうなのは、まず健康食品。前回も触れた通り、すでに前期から化粧品で獲得したシニア層に青汁など親和性の高い健食を提案し、前期の健食の売上高は10億7600万円と飛躍的に伸びた。この健食の拡販を今期からはさらに強化していく意向のよう。シニア層に特化した製品開発とともに、前期から始め、シニア層へのアプローチには実効性のあることが分かったラジオ通販などのチャネルで今期の売上高は前年比57・9%増の17億円、来期には26億円、来々期には38億円と現在の4倍弱の売上規模まで拡大させたい考えだ。

 シニア層の獲得で期待できるもう1つの拡販策は高級化粧品の拡販だ。同社では主力化粧品ブランド「ドクターシーラボ」のほか、若い年齢層に向けた「ラボラボ」。そしてもう1つこれまで主に百貨店での対面販売ルートで販売してきた比較的、高額な化粧品ブランド「ジェノマー」を展開している。これを今年4月ころから通販でも販売を始めている。ちょうど同じ頃に創刊されたシニア向け会報誌「シーラバー倶楽部」でだ。これにより、当該層に訴求して、「ジェノマー」の育成を図っていく考えだ。

 先の「シーラバー倶楽部」創刊やシニア層専用ダイヤル設置(前号7面参照)など「シニア層」への施策を強化する同社。これに加えて、リピート率アップのため、これまで年に数回だったお手入れ会など「リアルイベントの頻繁な開催」や全商品対象を目指す「定期配送の強化」も今期から実施、中計達成に向け突き進む。思惑通りに成長を維持できるか。行方を注視したい。  (おわり)

楽天 通販売上高ランキングのデータ販売