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青山商事の「ザ・スーツカンパニー」 大宮に新型店舗開設、EC連動や物販以外の提案も

2022年10月13日 12:00

 紳士服の企画・販売などを行う青山商事は10月7日、傘下の「ザ・スーツカンパニー(TSC)」において、店舗ごとで地域特性に合わせて洋服販売以外のサービスも提供するウィジェット型形態店舗の「SUITSQUARE(スーツスクエア)」を開始した。ECとの連携機能も引き続き取り入れており、1号店としてさいたま市内のJR大宮駅前に「THE SUIT COMPANY 大宮西口店」を開設した。

 TSCにおいては昨年より、展開する4つのブランドを集めた新店舗形態として「TSC SQUARE(ティーエスシー スクエア)」の展開を行っていた。今回のスーツスクエアについては、その店舗形態をリニューアルした形となっており、同様に4ブランドを1店舗に集約している。また、働き方の変化が進む中で、ECとの連動をはじめとする買い回りでの利便性も引き続き取り入れながら、ビジネスパーソンが求める洋服販売以外での様々なサービス提供を行うウィジェット型店舗としていく。

 各店舗が立地する地域性などに応じて様々なコンテンツの導入を予定しているもので、 今回の1号店については店内にワークスペースを併設。他県への通勤割合が高い埼玉県にあり、コロナ禍でテレワークの機会も増えたことでワークスペースの需要は高いと見込み、無料で使える空間として提供。コンセントやフリーWiFiも完備しており、ターミナル駅前ならではの出張ビジネスマンの合間時間での利用や、オーダースーツ注文の際の待ち時間などで使われるようなイメージで試験的に展開する。

 また、ECとの連動機能については、店頭のデジタルサイネージなどを使ってECや全国の各店舗の在庫と連動させる「デジラボ試着室」を導入。店舗在庫をゲージ見本として、試着や採寸が可能となるため、店頭で実際の商品の色柄や着心地などを確認した上で接客を受けながら購入ができ、商品も自宅配送が選べる。

 同社によると、1つの店頭に全SKUを置けるわけではなく、あくまでも品番はすべて入れて、色柄について足りない部分はECでの購入を促している。TSCの場合、約6700品番を店に揃え、あとはEC在庫の5万点で対応できる。

 また、今回の新店舗については、これまで大宮駅前に運営してた店舗を移転リニューアルしたものとなっており、面積では従来の約550平方メートルから、約190平方メートルまで縮小することができた。

 経営的な観点では、店舗サイズを小さくしたことで、物件費が下げられるほか、人の配置も減らせて人件費も抑えられ、在庫を置く量もスリム化できるメリットがある。店舗面積は約3分の1になったが、デジラボによるEC経由の売り上げが増えることで、旧店舗と同じ規模の売り上げを目指している。

 なお、デジラボの機能自体は現在、すべての店舗で導入しているが、昨年から展開し始めたティーエスシー スクエア店舗を契機に、来店者が徐々にデジラボを通じたEC購入への慣れが見えているようで、すでに6店舗を展開しているティーエスシー スクエアにおいて、デジラボ経由の比率が約4割程度と、他店舗を上回る水準にある。

 1つの店舗に4つのブランドが集約されていて限られたスペースでの陳列であるため、ある程度ECを利用することを前提とした来店になることも可能性として考えられる。加えて、都心店や小型店ほど、デジラボの稼働率が高まる傾向にあるようだ。

 さらに、実店舗とECを併用して利用する顧客は、片一方だけを利用する顧客と比べて、売り上げが2倍近くになるデータもあり、ECとの相互送客が行いやすい今回の新店舗形態を増やしていくことで、全体の売り上げ拡大に大きく寄与すると見ている。

 同社では、2025年をめどに、旗艦店とアウトレット店舗を除いた全国のTSCの既存店舗を、今回のスーツスクエア型店舗形態に切り替える考え。
 
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