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アスクル AIで発注量を平準化、CO2や輸送車両の削減に成果

2023年 9月 7日 12:00

 アスクルは昨春から商品調達先の花王とコクヨとともに取り組みを始めたAIを活用した独自システムを用いて日々の商品発注量を週間で平準化、無駄な輸送を減らし、二酸化炭素(CO2)排出量の削減や物流作業の効率化など目指す実証実験の結果を8月30日に公表した。それによると商品納品時におけるCO2排出量、輸送に使う車両台数とも大きく削減。アスクル、花王、コクヨのいずれでも物流作業の効率化に効果があったという。アスクルでは同試みを今後も継続、他の取引先とも同様の取り組みを進めていく考え。
 
 アスクルは昨年4月から今年1月まで商品調達先の花王、コクヨと商品発注量を平準化して物量の波動を吸収し、輸送車両数とCO2排出量の削減を目指す実証実験を行った。同社が推進する物流業務改善のための取り組みの一環という。

 アスクルの従来の商品調達先のメーカーらサプライヤーへの発注方法は必要な時に必要な商品をその都度発注する形。発注量が需要に応じて変動するため、日々の発注量にばらつきがあり、サプライヤーは毎日の発注量に合わせて庫内作業を行う必要があり、車両もその都度手配することから、トラックの増台対応をする日もあれば、低積載となり結果的にトラックの空きスペースが多い日も発生するなど、出荷・輸送工程が非効率になりがちだったという。アスクル側も日々の入荷量に応じて受け入れ作業を行うための人員配置を都度、見直しや手配を行う必要があったりなど生産性低下につながっていた。加えて低積載輸送を行うことで無駄なCO2を排出していたという。

 こうした問題の改善するため、今回の実証実験ではアスクルがAIを活用した独自の発注量平準化のシステムを開発。各サプライヤーが使用する輸送車格(4トン車、10トン車)と各車格で輸送可能な物量(積載可能才数)を取り込みつつ、過去のデータなどから割り出した需要予測・需要変動のデータと突き合わせて前週金曜日に翌週の月~金の5日間の納品量が平準化、また、トラックあたりの積載量をなるべく増やして効率化するように各日の発注量を同システムが割り出した指示をもとにアスクルから花王、コクヨそれぞれへ発注。花王、コクヨはシステムの指示通りのトラック台数に同じく指定通りの商品を積載して今回の実証実験の対象となるアスクルの法人向け通販の専用拠点である名古屋センター(愛知県東海市)およびDCMセンター(東京都江東区)に納品する流れ。

 同取り組みの結果、実施前の1年間との比較では納品の際の花王、コクヨの倉庫からアスクルの倉庫までの輸送で発生するCO2排出量は5・1トンの削減、車両台数は4トントラックで158台、10トントラックで47台削減できたという。

 また、トラック容積べースの積載率は従来までの68・0%から69・7%と1・7ポイント改善したという。さらに花王、コクヨでは出庫・仕分け作業が、アスクルでは入庫・在庫化作業についての効率化に寄与したという。「物流作業の効率化に具体的な数値はないが、急な人員配置の変更などがなくなったり、最適な人員で作業できるようになり、効率化や経費削減にもつながった」(同社)という。

 同取り組みに一定の成果があったことから実証実験終了後も花王、コクヨの2社と同取り組みを継続して実施中。また、実証実験では取引サプライヤーの中でも特に発注量が多く、輸送の体制などが整った大手メーカーである花王とコクヨにまずは協力を呼び掛けたが、今年2月からは2社以外のサプライヤーとも同様の取り組みの展開を開始しており、今後さらに展開サプライヤーを拡大していく考え。
 
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