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LINEヤフー 利用者情報30万件漏えい、「LINE」の利用履歴など、取引先・従業員の情報も流出

2023年11月30日 12:00

 LINEヤフーは11月27日、サーバーが不正アクセスを受けて、展開する「LINEアプリ」の利用者の個人情報など約30万件が流出した可能性があると発表した。現時点でユーザー情報や取引先情報を利用した二次被害の報告はないとし、今後、二次被害のおそれがあるユーザーには個別に連絡するとしている。10月にLINEとヤフーらが合併・統合し、サービス強化や集客力アップに向けて互いのIDを連携させてECを含めた各事業の拡大に乗り出した矢先の情報流出が利用者の不信感を高めるのは明白で同社の今後の事業に少なからず悪影響を及ぼしそうだ。
 
 情報漏えいの可能性があるユーザーに関する個人情報は30万2569件でそのうち日本のユーザーの情報は12万9894件。流出した可能性のある情報は「LINE」のサービス利用履歴など。LINE内でのメッセージ内容、利用者の銀行口座やクレジットカードなどの情報流出は確認されていないという。通販関連ではギフト品の販売サービス「LINEギフト」の購入先の店舗名や当該店舗の売上額などで該当する日本のユーザーは304件。なお、仮想モール型プラットフォーム「LINE SHOPPING」でもページ閲覧数やショップ訪問数の統計情報などが1万件程度、流出した可能性があるが、タイのみで日本のユーザーは該当がなかった。仮想モール「ヤフーショッピング」の利用者の個人情報など旧ヤフーのサービスに関する情報漏えいはないようだ。

 ユーザーに関する情報のほか、取引先等のメールアドレスなど「取引先に関する個人情報」が8万6105件、従業員の氏名、社員番号、メールアドレスなどの「従業員等に関する情報」は5万1353件が流出した可能性があるという。

 情報の漏えいは同社株主である韓国ネイバーの子会社でデータセンターなどを運営するNAVER Cloud(ネイバークラウド)の委託先でかつLINEヤフーの委託先でもある企業の従業者のパソコンがコンピューターウイルスの「マルウェア」に感染したことがきっかけ。NAVER CloudとLINEヤフーの従業者情報を扱う共通の認証基盤で管理されている旧LINE社の社内システムへネットワーク接続を許可していたことから、NAVER Cloudのシステムを介して10月9日にLINEヤフーのシステムへ第三者による不正アクセスが行なわれたという。同17日に同社システムへの不審なアクセスを検知し、同27日に外部からの不正アクセスによる蓋然性が高いと判明。被害状況の把握と拡大の抑止の対応を実施したという。

 同社では今後、旧LINE環境の社内システムで共通化しているNAVER Cloudとの従業者情報を扱う認証基盤環境を分離しネットワークアクセス管理を強化。加えて、委託先の安全管理措置の是正に取り組むとしている。

 LINEヤフーは一昨年3月には旧LINEが中国の業務委託先の従業員が日本サーバー内にある利用者の氏名や電話番号などを閲覧できる状態となっていたことが発覚。また、8月には旧ヤフーの検索エンジンの開発・実証のため、ネイバーに提供していた約410万件の位置情報について、利用者に対して事前の十分な周知を行うことなく提供、利用させ、また、ネイバーが物理的に提供情報をコピーできる状態になっていたなど十分な安全管理措置がとられていなかったとして、電気通信事業法上、不適切であると総務省が文書による行政指導を行っていた。

 今年10月にLINEとヤフーらが合併・統合。その後、ヤフーとLINEのID連携がスタートし、これにより、それぞれのサービスの連携を強化し売り上げ拡大を図っていく考えだった。また、販促費を絞ったことで流通総額が低迷する「ヤフーショッピング」においてもID連携などによってLINEユーザーの集客などを強化して反転攻勢をかける算段があったわけだが、今回の情報の漏えいで利用者の不信感が高まることは明白。ヤフーとLINEのID連携や24年度中に予定しており、EC事業押し上げにおいても効果が期待されるグループの決済サービス「PayPay」のIDとの連携の行方にも暗雲が立ち込めている。
 
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