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楽天など3社 「みちびき」使った飛行実験、ドローンへの妨害電波対策

2024年 2月 8日 12:00

 楽天グループと位置管理サービスのコア、国産産業用ドローン開発のACSLは2月6日、日本版GPSとなる「準天頂衛星みちびき」を活用した国産ドローンの実証実験を、埼玉県秩父市で行った。GNSS(全地球航法衛星システム)スプーフィング(第三者が偽の測位信号を送信し、GNSS受信機ユーザーを欺くこと)行為が行われても、正常にドローンが運行できることを確認した。

 






 「みちびき」を使った高精度測位補強サービスは、基準局やネットワークを必要とせず、衛星単独でセンチ精度の測位が可能となるのが特徴。日本のほぼ真上にいるため安定して情報を提供できるほか、サービス利用料が無料となっている。

 ドローン活用におけるメリットとしては、通信インフラ無しに衛星単独で高精度測位が可能な点となる。メートル精度のGPSより高精度のため、狭い離発着所間でも輸送しやすくなるという。

 同日行われた実験では、スプーフィングを想定したドローンの航行を実施した。スプーフィングは、意図する経路での飛行を妨害したり、機体や搭載物品を盗難したりするなどの問題を生じさせることから、対策が重要となっている。

 実験では、みちびきCLAS(測位補強情報を送信するサービス)と、みちびき信号認証サービスに対応したドローン「ChronoSky PF2 AE」を活用。通常のドローンを使用した場合は、スプーフィング行為による偽信号で間違ったルートに誘導されてしまうが、信号認証サービスに対応したドローンの場合は、スプーフィングを遮断し、正しいルートでの配送が可能となる。

 実験の1回目では、一部の衛星で妨害を検知、正常な衛星信号を使って自動航行を継続した。2回目の実験では、すべての衛星で妨害を検知し、GPSが使えなくなったという設定で、マニュアル操作に切り替えて乗っ取りを防止し、安全に着陸した。なお、屋外でGNSS妨害電波を放射することは電波法に抵触するため、実証実験ではスプーフィングを行われたという想定のもと、ドローンが飛行した。

 有線でのデモとして、みちびき信号認証対応受信機がスプーフィング信号を遮断できている様子も展示された。コア社によれば、スプーフィング装置は安価に手に入ることから、ドローンを用いた物流を商用ベースで展開するには、スプーフィング対策は必須という。
 
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