次の10年どう乗り切るか

2013年05月23日 11:14

2013年05月23日 11:14

弊紙「通販新聞」が創刊してから今年で丸30年を迎えた。創刊した1983年から続けている、通販企業の売上高調査によれば、ランキングの合計売上高は30年間で8・5倍となっている。この10年に絞っても、上位200社の売上高は、2002年12月調査が約2兆5300億円だったのに対し、12年12月調査では約4兆5800億円となっており、約81%も増えたことになる。通販は日本の小売市場の中でも、まれに見る成長産業と言えよう。

 02年12月調査の売上高トップはベネッセコーポレーションで、以下千趣会、ニッセン、セシールが1000億円超となっている。一方、10年後となる12年12月調査の売上高トップはアマゾンジャパンの4800億円(本紙推定)で、他を引き離している。以下、ベネッセコーポレーション、アスクル、ジャパネットたかたと続く。

 02年12月のランキングと10年後のランキングを比較すると、アマゾンなどのネット販売企業、たかたやジュピターショップチャンネルに代表されるテレビ通販企業、サントリーウエルネスに代表される単品通販企業、アスクルに代表されるBtoB通販企業が10年間で躍進していることが分かる。一方、02年までの20年間、市場を牽引してきたカタログ通販企業の多くは売上高が停滞、もしくは落としている。

 この10年の通販市場は、新興企業の規模拡大と、新規参入企業の増加によって成長を続けてきたといっていいだろう。特に大きいのは、アマゾンと「楽天市場」の規模拡大だ。アマゾンが本紙売上高ランキングに初めて登場したのは03年7月調査で、02年12月期売上高は200億円(本紙推定)だった。アマゾンの12年12月期売上高は約6200億円(12年の平均為替レートで換算)となっており、わずか10年で30倍以上拡大したことになる。また、楽天の12年12月期国内EC流通総額は1兆4460億円まで増えている。

 カタログ通販企業にとってはネット販売への対応に終始した10年といえよう。売り上げをカタログからネットに移行することで、新規顧客獲得を図るとともに、カタログ関連費用の削減による収益改善をもくろんできたわけだが、実際にはカタログを見てネットで注文する顧客こそ増えたものの、期待していたほどの新規顧客獲得が果たせず、カタログ部数を減らした分、売り上げを減らしている企業が少なくない。老舗企業であるイマージュホールディングスが、アパレル通販をセシールに譲渡したのは顕著な例といえる。

 新興ネット販売企業も決して安泰ではない。ネット販売市場の拡大とともに売り上げを伸ばしてきたものの、参入企業の増加もあり差別化が困難になっている。さらにはアマゾンや楽天による寡占化も進行。売り上げ不振に陥る企業や経営破たんの憂き目にあう企業が増えている。

 円安に消費増税と、通販事業者にとって厳しい状況が待ち構える。次の10年を生き抜くために何をすべきか。過去の成功体験にとらわれることなく、いかに柔軟な施策で自社の強みを伸ばしていけるかが重要になるだろう。
 

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