SNS活用を再考せよ
ディー・エヌ・エー(DeNA)とミクシィは昨年12月、2012年に開始した「mixiモール」を3月末で閉鎖すると発表した。ツイッターやフェイスブックの普及とともに、販促策として注目を集めた「ソーシャルコマース」だが、思うような「成果」を挙げられないままサービスを終了するケースが目立つ。通販企業は、ソーシャルメディアを利用することで安価に販促できるという「幻想」にとらわれず、活用法を再考すべきだ。
同モールはSNS「mixi」と連携していることが最大の特徴で、商品ページにある「きになる!」「もってる!」ボタンを活用することでユーザーの商品認知度向上や購買喚起を図るという構想だったが、2年でサービスを終了することになった。両社では「協議を行った結果、今後の継続的な事業拡大に向けてサービス・運営体制両面での見直しが必要と判断した」などとその理由を説明しているが、出店者からは「mixiモール経由の売り上げは(モールのベースとなっている)DeNAショッピングの1%程度だった」と声も聞かれることから、取扱高が伸び悩んだのが実情と推測される。
DeNAでも、ユーザー同士のレコメンドについては「売り上げにあまり結びつかなかった」と説明。モールで扱っている商品の多くが自分用・日常で使う商品のため、友人との共同購入やプレゼントなどは少なかったという。「友人が推薦する商品は購入意欲を喚起される」というソーシャルコマースの根幹といえる部分を否定する結果といえるだろう。
ソーシャルコマース関連では、フェイスブックを使った「Fコマース」も注目されたが、ビルコムがフェイスブックページで通販が行えるアプリ「ReBuy」を昨年10月で終了するなど、広がりを見せていない。ビルコムの太田滋代表取締役は、ブログでサービス終了の理由について「ソーシャルコマースという市場がなかった」と説明している。
ソーシャルコマースは、自社サイトのファンを育成し、囲い込むための販促として注目された。それは、ソーシャルメディアをうまく使えば安価に顧客獲得ができるのではないか、という期待感があったからだ。しかし、フェイスブックに購入機能を設けるアプリのように、SNSから直接購入へ誘導する施策には目立った成果が出ておらず、「友人が薦めた商品を購入につなげる」という仕組みもうまく機能していない。
確かに、ソーシャルメディアはブランドを高めるためのコミュニケーションツールとしては大いに役立つものといえよう。しかし、消費者は買い物をするためにメディアを活用しているわけではないため、接点に「コマース」を紐付けるのは難しい。こうした指摘は、ソーシャルコマースが注目され始めた時期からされていたものだが、それが正しかったと言うべきだろう。
今後も新たなソーシャルメディアを使ったコマースがもてはやされる可能性はある。しかし、通販事業者は「安価な販促ツールとして活用する」という幻想を捨て、ソーシャルメディアとは距離を置いた付き合いをすべきではないか。
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ソーシャルコマースは、自社サイトのファンを育成し、囲い込むための販促として注目された。それは、ソーシャルメディアをうまく使えば安価に顧客獲得ができるのではないか、という期待感があったからだ。しかし、フェイスブックに購入機能を設けるアプリのように、SNSから直接購入へ誘導する施策には目立った成果が出ておらず、「友人が薦めた商品を購入につなげる」という仕組みもうまく機能していない。
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今後も新たなソーシャルメディアを使ったコマースがもてはやされる可能性はある。しかし、通販事業者は「安価な販促ツールとして活用する」という幻想を捨て、ソーシャルメディアとは距離を置いた付き合いをすべきではないか。