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【千趣会イイハナの杉本社長に聞く フラワーギフトECの成長戦略】 生花の加工場新設し品質向上、運賃上昇も業界の潮流に逆行、“大きな花”で想い届ける
千趣会イイハナ
【千趣会イイハナの杉本社長に聞く フラワーギフトECの成長戦略】 生花の加工場新設し品質向上、運賃上昇も業界の潮流に逆行、“大きな花”で想い届ける
2019年12月12日 16:34
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2019年12月12日 16:34
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千趣会グループで花とギフトのネット販売を手がける千趣会イイハナは、手軽な花から高級な花へのシフトを含め、フラワーギフト業界の潮流とは異なる独自路線で注目を集めている。近年は法人向けの卸ビジネスやシステム投資にも積極的だ。通販サイト「イイハナ・ドットコム」を運営する同社の杉本伸二社長(=
写真
)に事業環境や成長戦略などについて聞いた。
――フラワーギフト業界の事業環境は。
「業界では運賃値上げを受けて、運賃を安くするために花を小さく仕立てて送る傾向にある。花は荷姿が大きく、運賃上昇の影響を受けやすい。消費者も送料を気にするため、とくにEC事業者は花を小さく仕立てる傾向が強い」
――御社は。
「当社はまったく逆の戦略をとっている。ギフトにはサプライズ感が重要で、小さな花を届けても感動は薄い。特別な日に花を贈り、相手が本当に喜んでくれることで『イイハナに頼んで良かった』となるのではないか。フラワーギフト業界では今までのワンランク下のサイズに花を仕立てる企業が目立つが、そんなことをしていたら花自体が支持されなくなると危機感が持っている」
――ニーズの変化は。
「母の日と言えば花を贈るというのが根付いていて、年々、母の日商戦は大きくなっているが、定番のカーネーション以外の花を贈るケースが増え、当社ではアジサイがカーネーションと互角の規模になっている。花とお菓子などのセット商品を求めるお客様も増えている。父の日も花を贈る傾向が強まっている。セット商品のニーズも高く、鰻やお酒などと一緒に花を贈るのが人気で、購入単価が上昇している。一方、敬老の日には、りんどうを贈るのが定番だが、最近は花自体を贈らなくなっている」
――サイト運営で大事にしていることは。
「6年ほど前に社長に就任して以来、品質の向上と同時に商品単価を上げ続けてきた。業界の動向とは逆行していると思う。元々は当社も”手軽に買えるお花”を打ち出していて、安売りに近かったが、10年前に比べて商品単価は約1000円高い4700円~4800円程度だ。徐々に安売りから高級な花に変えていったことが功を奏し、送料が880円まで上がってもお客様は買ってくれる。安売りの花ではそうはいかない」
――近年は法人向けにも力を注いでいる。
「法人向けの売上高はまだ全体の10%程度だが、中期的には30%くらいまで高めたい。来年3月のリニューアルに向けて通販システムの改修を行っているところだ。法人向けは胡蝶蘭や観葉植物といったお祝い用の花がメインで、大手企業の利用が多い。従来は個別に対応していた法人需要に対し、新サイトでは法人登録はもちろん、請求書や立札も含めてさまざまな機能を付加し、選びやすく、注文しやすいサイトを構築する」
「また、卸では和モダンをテーマにしたプリザーブドフラワーの法人向けブランド『HANARI(はなり)』を展開している。一般的にプリザーブドフラワーはバラが中心で洋風のアレンジになるが、当社は現代的な感覚を取り入れた和テイストのブランドを開発した。造花を組み合わせることでデザインの幅を広げることにも成功し、花屋や雑貨店、仏具店などの店頭に卸している」
――投資については。
「当社では毎年、数百万円規模でシステム改修に投資している。デバイスの多様化に伴ってお客様とのタッチポイントが増えており、それぞれの接点に対して受け皿が必要だ。また、キャッシュレス決済への対応や、外部ECモールとのシステム連携も不可欠で、ECはシステム改修をし続けないと売り上げを維持、拡大できない」
――その他の投資は。
「花の加工場を増設している。従来からプリザーブドフラワーは自社でデザインから加工、出荷まで行っていて、加工場を東京の大崎に構えている。また、生花についても最大の商戦である母の日用の鉢花は臨時加工場を活用している。これらに加えて、今年3月に東京の平和島に生花専用の加工場を開設した。これまで、生花は農家さんから直接お客様に届ける産直方式だったが、今後は生花についても自社出荷の比率を高めたい」
――加工場を持つ利点は。
「加工場を持つ一番大きな理由は品質の向上にある。農家さんと新規の取り引きをする際、最初は花の品質を確認できるが、それ以降は産直だと確認できない。お客様にはできるだけ良い商品を届けたい。また、加工場を持つことで固定費はかかるが、仕入れ値を抑えられるため原価比率は下がる」
――農家との関係性も大事だ。
「その通りで、当社では花き市場だけでなく、仕入れ先の農家さんにも足を運んで消費者が求めていることを伝えている。以前、母の日に見栄えがよくてさまざまなサイトでヒットした花があったが、出荷する際に梱包材に花が当たって弱りやすく、各EC事業者に購入者からのクレームが増えたことがあった。そうなると、EC事業者は翌年の発注を控えるが、農家さんは売れた事実だけで増産の判断をしかねない。そうしたミスマッチが起こらないように、常に農家さんと話ができる関係作りを心がけている」
――今後の挑戦は。
「海外の通販サイトに出店していく。海外には花屋を束ねたようなサイトがあり、海外から日本の消費者に花を贈りたいニーズにも応える。東アジアや東南アジア、米国などのサイトに出店していく。愛情を花の大きさで表現する海外のギフトのあり方を日本に定着できればいい」
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「業界では運賃値上げを受けて、運賃を安くするために花を小さく仕立てて送る傾向にある。花は荷姿が大きく、運賃上昇の影響を受けやすい。消費者も送料を気にするため、とくにEC事業者は花を小さく仕立てる傾向が強い」
――御社は。
「当社はまったく逆の戦略をとっている。ギフトにはサプライズ感が重要で、小さな花を届けても感動は薄い。特別な日に花を贈り、相手が本当に喜んでくれることで『イイハナに頼んで良かった』となるのではないか。フラワーギフト業界では今までのワンランク下のサイズに花を仕立てる企業が目立つが、そんなことをしていたら花自体が支持されなくなると危機感が持っている」
――ニーズの変化は。
「母の日と言えば花を贈るというのが根付いていて、年々、母の日商戦は大きくなっているが、定番のカーネーション以外の花を贈るケースが増え、当社ではアジサイがカーネーションと互角の規模になっている。花とお菓子などのセット商品を求めるお客様も増えている。父の日も花を贈る傾向が強まっている。セット商品のニーズも高く、鰻やお酒などと一緒に花を贈るのが人気で、購入単価が上昇している。一方、敬老の日には、りんどうを贈るのが定番だが、最近は花自体を贈らなくなっている」
――サイト運営で大事にしていることは。
「6年ほど前に社長に就任して以来、品質の向上と同時に商品単価を上げ続けてきた。業界の動向とは逆行していると思う。元々は当社も”手軽に買えるお花”を打ち出していて、安売りに近かったが、10年前に比べて商品単価は約1000円高い4700円~4800円程度だ。徐々に安売りから高級な花に変えていったことが功を奏し、送料が880円まで上がってもお客様は買ってくれる。安売りの花ではそうはいかない」
――近年は法人向けにも力を注いでいる。
「法人向けの売上高はまだ全体の10%程度だが、中期的には30%くらいまで高めたい。来年3月のリニューアルに向けて通販システムの改修を行っているところだ。法人向けは胡蝶蘭や観葉植物といったお祝い用の花がメインで、大手企業の利用が多い。従来は個別に対応していた法人需要に対し、新サイトでは法人登録はもちろん、請求書や立札も含めてさまざまな機能を付加し、選びやすく、注文しやすいサイトを構築する」
「また、卸では和モダンをテーマにしたプリザーブドフラワーの法人向けブランド『HANARI(はなり)』を展開している。一般的にプリザーブドフラワーはバラが中心で洋風のアレンジになるが、当社は現代的な感覚を取り入れた和テイストのブランドを開発した。造花を組み合わせることでデザインの幅を広げることにも成功し、花屋や雑貨店、仏具店などの店頭に卸している」
――投資については。
「当社では毎年、数百万円規模でシステム改修に投資している。デバイスの多様化に伴ってお客様とのタッチポイントが増えており、それぞれの接点に対して受け皿が必要だ。また、キャッシュレス決済への対応や、外部ECモールとのシステム連携も不可欠で、ECはシステム改修をし続けないと売り上げを維持、拡大できない」
――その他の投資は。
「花の加工場を増設している。従来からプリザーブドフラワーは自社でデザインから加工、出荷まで行っていて、加工場を東京の大崎に構えている。また、生花についても最大の商戦である母の日用の鉢花は臨時加工場を活用している。これらに加えて、今年3月に東京の平和島に生花専用の加工場を開設した。これまで、生花は農家さんから直接お客様に届ける産直方式だったが、今後は生花についても自社出荷の比率を高めたい」
――加工場を持つ利点は。
「加工場を持つ一番大きな理由は品質の向上にある。農家さんと新規の取り引きをする際、最初は花の品質を確認できるが、それ以降は産直だと確認できない。お客様にはできるだけ良い商品を届けたい。また、加工場を持つことで固定費はかかるが、仕入れ値を抑えられるため原価比率は下がる」
――農家との関係性も大事だ。
「その通りで、当社では花き市場だけでなく、仕入れ先の農家さんにも足を運んで消費者が求めていることを伝えている。以前、母の日に見栄えがよくてさまざまなサイトでヒットした花があったが、出荷する際に梱包材に花が当たって弱りやすく、各EC事業者に購入者からのクレームが増えたことがあった。そうなると、EC事業者は翌年の発注を控えるが、農家さんは売れた事実だけで増産の判断をしかねない。そうしたミスマッチが起こらないように、常に農家さんと話ができる関係作りを心がけている」
――今後の挑戦は。
「海外の通販サイトに出店していく。海外には花屋を束ねたようなサイトがあり、海外から日本の消費者に花を贈りたいニーズにも応える。東アジアや東南アジア、米国などのサイトに出店していく。愛情を花の大きさで表現する海外のギフトのあり方を日本に定着できればいい」