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【ZOOM in】Jリスティング、"成果報酬"でコンテンツマッチ広告を開始 

2011年 6月12日 21:21

コンテンツ連動型広告なのに広告料の支払いは成果報酬?――。ネット広告事業を行うジェイ・リスティング(本社・東京都新宿区、窪島剣璽社長)が6月1日から、成果報酬型の新たなアドネットワーク広告「パフォーマンスアド」のテスト展開を開始した。

 同広告の最大の"売り"は、WEBページの内容に合致した広告を配信するため、潜在顧客に効果的にリーチできるという「コンテンツ連動型広告」を、同種の広告では一般的な料金体系である「クリック課金」ではなく、実際にサービスやモノが売れた場合のみ広告費の支払いが生じるアフィリエイト型の「成果報酬」で出稿できるというもの。

 通販企業などの広告主はテキストやバナー形式で出稿する広告を用意し、それに合致したキーワードを入札制で購入。この入札額とは「成果報酬額の入札」となる。広告は入稿キーワードに基づき、行動ターゲティングとコンテンツ連動を組み合わせた同社独自の仕組みで媒体サイトに掲載される。この際、広告主が支払う広告料は完全成果報酬で初期費用や月額固定費などもかからない。

 6月からテスト展開としてオイシックスやグルーポン・ジャパンなど一部のネット販売実施企業に絞って広告配信を始め、今冬をメドに本サービス開始にこぎつけたい考えだ。コンテンツ連動型広告はグーグルなどが先行しており、後発の同社は成果報酬型でその牙城の切り崩しを狙う。

 しかし、この「パフォーマンスアド」。費用対効果に優れた広告商品だが、ネックとなりそうなのが、広告主の広告を掲載する媒体の数だ。現状はグループの「livedoor Blog」「ハンゲーム」「NAVERまとめ」の3サイトのみだ。

 成果報酬型は広告主側にとっては、成果が上がらなければ広告費を支払う必要がないため、非常に都合がよいスキームだが、広告を掲載する媒体者側にとっては、儲けが目減りする可能性もある。なかなか広告が入らない媒体者はそれでも受け入れる可能性はあるのだろうが、たくさんのアクセスがあり、広告も入ってくる優良な媒体サイトにとっては、あえて成果報酬型広告を掲載するメリットは薄い。一方で、優良媒体に広告が配信されなければ広告主にとって魅力的な広告とは言えない。

 同社が「恐らく日本でもトップクラスの技術者がそろっている精鋭部隊」(窪島社長)と豪語する優秀な開発部隊が開発した独自の広告配信技術で成果が上がる広告を配信することで、効果的に媒体者側に成果報酬が支払われる状態を作り出すことで、「媒体者側の収益を最大化させる」(同)とし、グループサイト以外のポータルなどに同広告配信ネットワークに参加するよう営業を強化していく考え。

 融通が利くグループ内のサイト以外にどこまで広告配信ネットワークを拡大できるか――。これには前述の独自広告配信技術の精度が、1つのポイントとなりそうだ。言わば相反する広告主と媒体者のメリットの両方を実現するのはそう容易なことではないはずで、それらをバランスよく両立しなければ、そっぽを向かれてしまうからだ。費用対効果に優れた注目の広告の行方はいかに?


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