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経産省の越境EC市場調査から㊤ 中国消費者、品質や安全が利用理由

2011年 6月16日 09:03

 経済産業省は6月2日、2010年における日本国内におけるEC市場と、中国を中心とした日米中におけるBtoC越境EC市場に関する調査結果を公表した。中国市場への参入を目指す日本企業の増加などを踏まえたもので、政府として中国の越境EC市場調査を行ったのは初めて。現地消費者へのアンケートやインタビューなどをもとに、越境ECの利用実態を調べたものだが、中国消費者の特徴的な購買行動の傾向も出ている。


 まず、中国消費者の越境ECの利用状況を見ると、過去1年間に越境ECを利用したという回答が58・7%。これは日本消費者の18・9%、米国消費者の23・4%を上回る水準で、30代男女についてみると、6割超が過去1年間に越境ECを利用したと回答している。

 また、越境ECを利用する理由で最も多いのは、(1)「求めている商品(ブランド)が国内で販売されていない」(72・4%)。これに(2)「国内で購入するよりも商品の品質が良い」(66・1%)、(3)「国内で購入するよりも価格が安い」(59・4%)、(4)「国内で購入するよりも取引の安全性が高い(偽物が少ないなど)」(38・7%)が続く。

 特徴的なのは日米の消費者と比べ、(1)(2)(4)の回答が圧倒的に多いこと。商品の購入を判断する上で価格も重要な要素だが、(3)の回答は日米の消費者を下回る水準で、中国の消費者は、商品のブランドや品質といった付加価値を求め、国内よりも取引が安心な越境ECを利用している様子がうかがえる。この背景には、経済成長に伴う所得水準の向上などもあると見られるが、今後の越境ECの利用意向についても、「積極的に利用したい」「機会があれば利用したい」という回答が79・5%を占めるなど意欲的だ。

 一方、日本企業の通販サイトの利用についてみると、1カ月に1回以上利用しているという回答が6割以上と、利用頻度は高い状況。過去1年間に購入した商品で多いのは、「衣料・アクセサリー」(40・6%)、「書籍・雑誌」(35・8%※ダウンロード除く)、「医薬・化粧品」「食品・飲料・酒類」(各24・4%)の順で、こうした購入商品からも、中国消費者がブランドや品質などの付加価値を求め、日本の越境ECを利用していることがわかる。

 因みに、前年比の伸び率をみると、「衣料・アクセサリー」が23・6ポイント増、「書籍・雑誌」が26・6ポイント増、「医薬・化粧品」が同12・8ポイント増、「食品・飲料・酒類」が同14・5ポイント増と軒並み2桁増。中国市場に進出する日本企業の増加に伴い、日本の越境EC利用も急増しているようだ。

 一方、中国消費者が商品を認知する媒体としては、「インターネット広告」(45・4%)、「TV広告」(40・8%)、「くちコミサイト」(30・7%)、「レビューサイト」(28・4%)、「雑誌・新聞広告・チラシ」(28・3%)の順となっており、日米と比べ「くちコミサイト」と「レビューサイト」での商品認知が多いのが特徴。重視する媒体としても「くちコミサイト」(34・8%)と「レビューサイト」(32・4%)が上位に入っており、中国の消費者は、情報収集や比較検討を十分に行った上で商品を購入するという傾向が強いようだ。


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