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ケーズHD、通販の注文を店舗から発送、コスト削減し露出強化

2011年 9月11日 21:13

家電量販店大手のケーズホールディングス(本社・水戸市、加藤修一会長)がネット販売の強化を進めている。今年1月に通販サイトを全面的に刷新した。デザインを大幅に変えたほか、レコメンドを導入し、1注文あたりの購入点数が向上。さらには、配送の仕組みを変更し、ネット販売と店舗で在庫を共有するようにした。店舗の在庫を活用することで、取扱商品数が大幅に拡大したほか、梱包や発送などにかかるコストも削減可能となった。2011年3月期のネット販売売上高は30億円強だが、早期に100億円達成を目指す。

 これまで茨城県内の倉庫から全国に商品を発送していたが、現在は全国約360の店舗からそれぞれ発送する形とした。商品の梱包や配送は、手の空いた時間に店舗の店員が行うため、一部のウェブ専用商品を除いて通販での梱包・発送要員が不要となり、コスト削減にもつながっている。

 同社営業企画部の塩康隆課長は「従来の仕組みでは1日に300件程度しか出荷できず、売り上げ拡大にも限界があった」と話す。

 消費者から注文が入ると、住所から一番近い店舗の在庫を確認。在庫に余裕があるようならその店舗から発送、難しい場合は2番目に近い店舗から発送するようにする。店舗ごとに通販への割り当ての「枠」が決まっており、これを超過する場合は別店舗に振り分けられる、というわけだ。枠は十分に余裕をもって設定されているため「現在の数倍の注文数になっても、発送遅延などの問題が起きることはない」(塩課長)。

 また、配送業者を佐川急便に統一したことで、配送コストも削減された。仮に店舗間を「たらい回し」にされて、距離がある店舗からの発送となっても「料金は変わらない」(同)という。注文当日に発送できる件数が増え、サービス競争力が高まった。

 今年7月には購入金額によらず送料を無料にした同社。以前の仕組みではサービス開始による注文増には「とても対応できなかっただろう」(同)。成果はさっそく出ているようだ。

 とはいえ、店舗にとって通販からの注文の梱包や配送は「余計な手間」ともいえる。そこで、通販の注文を発送した場合、売り上げは店舗に計上される形とした。これならば店としてもモチベーションが保ちやすいわけだ。また、店員になるべく負担をかけないため、手間のかかるギフト包装にも対応していない。

 削減されたコストは、広告など露出度を高める施策に投資する。以前から活用していたアフィリエイトのほか、今後はポータルサイトへの純広告出稿やSEOの強化を進め、新規会員獲得ペースを加速したい考えだ。

 ケーズデンキの店舗では、提示するだけで現金値引きや長期無料保証の自動手続きが受けられる「あんしんパスポート」というサービスを展開している。すでに1000万人を超える会員を抱えており、同サービスと連携できればネット会員も急増するのは確実だ。

 ただ、会員データとの連動が難しいほか、「店舗の顧客を通販が奪う」ことになりかねないため、実装を見送った。とはいえ、消耗品をネットで買うと自動的に3%値引きになるなど、あんしんパスポートでうたうメリットの導入は進めている。こうした特徴をアピールすることで、リピート率の向上につなげる。

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