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TSS点から線の展開へ・ヤマトロジ 中部圏での体制を整備、新センターで定温管理も導入

2010年 5月 6日 17:42

 ヤマトロジスティクス(YLC)は、ネット販売受注商品を最短八時間で顧客に届ける「トゥデイ・ショッピング・サービス」(TSS)の対応エリア拡充を進めている。これまで首都圏および大阪、福岡などに拠点を構えていたが、今年に入り愛知、北海道でも「TSS」に対応した体制を整備。今後、通販事業者に対する提案を本格化させる構えだ。9月に愛知県で開設予定の拠点では庫内の温度管理を行えるようにするなど、より高度なサービスの提供を通じ、ネット販売事業者の開拓につなげる。

 「TSS」は、午前0時までのネット販売受注商品を最短で当日の朝8時に顧客へ届けられるのが特徴で、都内の1部では4時間配送も実施。既に「TSS」を導入する通販事業者の間では、配送リードタイムの大幅な短縮によるキャンセル率の低減や、商品出荷数量の増加といった効果も出ている。

 「TSS」の展開については、2008年10月に埼玉県三郷市に自動倉庫システム「オートピックファクトリー」を導入した「TSS」専用のセンターを開設したのを機に本格化。千葉、東京、大阪、福岡などに「TSS」対応拠点を設けており、今年2月に名古屋市、三月に札幌市でも「TSS」に対応した体制を整備、現在対応拠点を8カ所にまで広げている。

 名古屋と札幌については、ヤマト運輸のベース店に倉庫スペースを確保し手作業ベースで8時間、4時間配送に対応できる形にしたもの。現状利用通販事業者は2、3社程度で夕方までに受け付けを終了し翌日に商品を配送する形だが、荷主企業の拡大や受注センターなどの機能を整備した上で8時間・4時間配送サービスを始める考えだ。

 一方、愛知については大都市を抱える東京、名古屋、大阪のラインを押さえる施策の一環として、9月に小牧市でヤマト運輸のベース店併設型の「TSS」センター新設を予定する。

 新センターは、「ヤマト運輸として『TSS』を意識した初のベース店」(YLC経営企画課)となるもので、約3,000坪の規模を擁し、中部全域をカバーする。機能的には、「オートピックファクトリー」を装備するほか、庫内の25度に保つ定温管理も導入。これにより高級化粧品やペットフードなど、高付加価値商材を扱う通販事業者の開拓を図る意向で、名古屋のベース店を利用する通販事業者についても小牧の新センターでの対応に切り替えていくという。

 現状、「TSS」の利用通販事業者は、1拠点当り「五社から十社程度」(同)だが、YLCのホームページ経由だけで1カ月に10―20件程度の問い合わせがあるなど、通販事業者の間でも「TSS」に対する関心は高まっているようだ。

 YLCとしては、小牧の新センター設置により、従来の点から東名阪を結ぶ線展開でのサービス提供体制を確立する形になるが、今期中に岡山、広島でも「TSS」対応拠点を整備し、福岡へと伸びるラインも強化。7月には台湾でも「オートピックファクトリー」導入による「TSS」の展開を予定する。

 既に「TSS」では、顧客の利便性向上を通じた売り上げ拡大で既に実績があり、通販事業者としても今後の展開が注目されるところだ。
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