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アマゾンジャパン、スピード配送網の外部開放を開始

2017年 4月20日 13:48

プライムナウ①.jpg「アマゾンのスピード配送網、他社へも開放へ」――。アマゾンジャパンは4月18日から、有料会員「プライム会員」向けに一部地域で展開する短時間配送サービス「プライムナウ」を他の事業者に対して提供する試みを始めた。これまでアマゾンによる自社商品のみを販売してきたが、同日からドラッグストア大手のココカラファイン、マツモトキヨシの2社と百貨店の三越伊勢丹の3社が「プライムナウ」に出店する形で、化粧品やサプリメント、野菜といった生鮮品や惣菜など3社合計で1万1000点の販売を「プライムナウ」で始めた。受注を受けてアマゾンの配送員が各社の対応店舗に商品を取りに行き、顧客に配送する仕組みだ。

 「プライムナウ」は日本では一昨年11月から開始し、徐々に専用倉庫(現在は都内3カ所と横浜と大阪に1カ所ずつ)を増やし対象エリアを広げて現在は東京・千葉・神奈川・大阪・兵庫の一部地域で展開中のスピード配送サービスで午前6時から深夜1時までの指定時間に1時間以内に配送する「1時間以内配送」と午前6時から深夜12時まで2時間単位の配送時間を選択して当該時間枠内に配送する「2時間便」を展開する。

 これまではアマゾンによる直販で約6万5000点を販売してきたが、4月18日から外部の小売り事業者の出店を解禁した。なお、外部の小売り事業者に「プライムナウ」への出店を促す取り組みはすでに米・英・仏・伊のアマゾンで実施中で日本は5カ国目の取り組みとなるようだ。
 
DSC06870.JPG ココカラファインら3社は、日用品や化粧品、惣菜などそれぞれ店頭などで売れ筋の商品を「プライムナウ」で販売する。なお、ココカラファインではスピード配送において、需要が高いと思われる医薬品についても販売していく意向を示しているがスタート時点では販売しておらず、「準備が整い次第、近々にも販売を始める。販売を始めたら積極的に取り組みたい」(ココカラファイン・郡司昇販促マーケティングチームマネージャ-=写真㊧)としている。

 出店者の商品の受注を受けると「プライムナウ」の専用倉庫からアマゾンの配送員が各社の提携店(ココカラファインは東京品川区の中延店、東京都江東区の南砂店、三越伊勢丹は東京都中央区の日本橋三越本店)で出店者側があらかじめ集荷・梱包した商品を受け取り、各店舗の周辺エリア(※ココカラファインは都内は目黒・港・大田・世田谷・渋谷・品川の6区と神奈川・川崎市中原区、マツモトキヨシは都内の中央・江戸川・江東・墨田4区、三越伊勢丹は都内は千代田・中央・江戸川・江東・港・品川・墨田・台東8区と千葉県浦安市)の顧客に配送する仕組み。これまでの「プライムナウ」同様に2500円以上の注文から受け付け、基本的には2時間便での配送となる。
 
 ただし、アマゾン直販の場合、「2時間便」は顧客から送料を徴収しないが、外部出店者の場合、送料として税込540円を徴収する。なお、ドラッグストア2社の場合は5000円以上購入で、三越伊勢丹は9000円以上の購入で無料とする。

 また、ドラッグストア2社については提携店に近い地区(ココカラファインは品川区、マツモトキヨシは江東区)のみ1時間以内配送も行う。その場合、さらに追加で税込890円を徴収する。

 なお、配送可能時間は各店舗の営業時間によって異なり、ココカラファインは午前10時から午後10時まで、マツモトキヨシは午前10時から深夜12時まで、三越伊勢丹は正午12時から午後8時までとなっている。

 「プライムナウ」に出店することで小売り事業者は自社で体制を構築することなく、短時間配送を行うことが可能になる。出店するための条件や料金体系などは「個別の契約内容については明らかにできない」(同社)としており、詳細は不明だが、「プライム会員により利便性の高いサービスにするため品ぞろえと配送を重視している。この両方を実現するためという観点で当社と提携店それぞれが持つビジネス上のアセットがうまくかみ合うようにしていくことが重要」(永妻玲子Prime Now事業部長=写真㊨)としており、アマゾンが自社で品ぞろえの拡充が難しい商品群などを持つ小売り事業者や「プライムナウ」の売りであるスピード配送を妨げないオペレーションが可能な体制や規模を持つ小売り事業者が当面は対象となるようだ。

 アマゾンジャパンでは「プライムナウ」の外部開放で効率的な品ぞろえ拡大と他社商品の配送も請け負うことで「プライムナウ」というスピード配送網の収益化や効率化を狙いたい考えもあるようだ。

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