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研究・通販支援サービスの活用術、YSDのギフト向け支援ツール

2010年 8月 8日 20:36


家電通販応用で成果、店舗発送に切り替え物流費を大幅に削減

市場の拡大が続く進むネット販売。メーカーや小売業者の間では、新規事業としてネット販売の展開を検討するところが後を断たない。通販支援事業者でも、こうした新規参入事業者をターゲットに集客や業務効率化、など様々なサービスを提供しているが、中には、もともとの狙いとは違う使われ方で、思わぬ成果を出しているものもある。

 ヤマトグループで通販・ネット販売の支援ツールを提供するヤマトシステム開発(YSD=本社・東京都江東区、皆木健司社長)。通販サイト構築や顧客管理など様々な販売支援ツールをラインアップする中で「最近、使われ方が変わってきた」(e―通販ソリューションカンパニー・松崎暢之プレジデント)というのが、百貨店やGMSのギフト業務での利用を想定した「web出荷コントロールサービス」だ。

 同サービスはギフトでの利用を想定したもので、百貨店やGMSなどの店舗側の受注情報をヤマトシステム開発のデータセンターを通じて産直業者等のサプライヤーに送り、商品の発送に必要な送り状などを直接発行できるようにしたもの。

 従来、顧客の注文を受けた店舗側で送り状を作成し、サプライヤーに送付しなければならないという手間があり、実際の商品発送までに時間が掛かっていたが、「WEB出荷コントロールサービス」では、この課題を解消。また、商品の受注からお届けまでの流れを一元管理するため、顧客からの問い合わせにも迅速に対応できるといったメリットがある。

 現在、「WEB出荷コントロールサービス」の導入企業は70~80社だが、実はギフト以外にも、ある家電量販店が手掛けるネット販売で大幅なコスト削減を実現した事例があるという。

 この家電量販店。全国に100店舗以上をチェーン展開しているが、家電ネット販売については、北関東に物流拠点を設け、そこから全国に受注した商品を発送していた。この際、ネックとなっていたのは運賃の問題。北関東の物流拠点から全国に商品を発送した場合、九州や北海道などの地方の運賃が高く収益を圧迫していたのだ。

 この課題の打開策として家電量販店が打ち出したのは「WEB出荷コントロールサービス」を活用したスキームの見直し。具体的には、同サービスを使ってネット販売の受注データを全国の各店舗に割り振り、店頭在庫の商品を発送するという仕組みで、商品の集荷は店舗近隣を走る「宅急便」のセールスドライバーに依頼する形だ。

 この取り組みでは大幅な物流コストの削減。注文顧客が居住地に近い店舗から商品を発送する仕組みに改めたことで、従来のネット販売専用物流拠点の賃借料がなくなり、運賃も安くなったことから物流コストを70%近く削減することに成功したという。また、地域によっては商品の配送リードタイム短縮による顧客サービスの向上につながり、店舗側も、売り上げが自店に計上されるためモチベーションが上がるといった副次的な効果もあるようだ。

 通販支援事業者が提供する様々な業務支援サービス。使いようによっては、期待以上の成果を出す可能性があることを示した事例といえるだろう。


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