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日本百貨店協会「eビジネス白書」④ 通販強化には課題山積

2010年12月16日 17:40

6kata.jpg 前号に引き続き、日本百貨店協会がまとめた「2010年版百貨店eビジネス白書」から一部を抜粋する。

 百貨店24社にeビジネスの運営体制を聞いたところ、通販サイトは「EC推進などの部署が一機能として運営している」が92%で、「1つの店舗として運営している」と「各部署がそれぞれの担務を担い運営している」がともに4%だった。

 また、ネット販売専任のバイヤーについては、「ネット担当者が関係部署と協議して商材を確保している」が59%と多く、「店舗のバイヤーがネット販売も兼任している」も33%となり、ネット販売専任のバイヤーが通販商材を確保するのは極めて少ないのが実情だ。

 また、ウェブ掲載用の写真撮影(複数回答)は、「供給側から写真提供がある」企業が75%、「店頭で撮影している」企業が33%、「その他」と回答したのは42%で、内容は「紙媒体画像の流用」や「自社のスタジオや外部のスタジオを利用している」とする企業が多い。

 商品の採寸(複数回答)では、「提供された情報を利用している」企業が92%と圧倒的だが、一方で「倉庫で独自に採寸している」企業も25%だった。少数派ながら、「既存媒体のデータ流用」や「店舗の売り場で採寸している」との回答もあった。

 商品の原稿作成(複数回答)は、「提供された原稿をそのまま利用している」企業が58%で、「店頭スタッフが作成している」企業が54%、「ネット販売のスタッフが作成している」企業が46%となった。「提供された原稿を校正して利用する」ケースもあった。

 一方、ネット販売の物流は、「既存の物流を利用している」企業が83%と圧倒的で、「一部の商品はネット販売独自の物流を持っている」企業も13%、「すべてを独自の物流で行っている」企業はごく少数だった。

 この傾向は倉庫も同じで、「既存の倉庫を利用している」企業が67%だったのに対し、「一部の商品で独自の倉庫を持つ」企業が21%、「ネット販売用に独自の倉庫を持つ」企業は4%と少なかった。

 これらを踏まえたネット販売の課題(複数回答)は、「独自の商品開発ができていない」が67%ともっとも多く、次いで「商材を確保する体制ができていない」の63%、「EC化するためのシステム・物流体制が整備されていない」が54%(図表を参照)。この3つは前々年、前年も上位3位を占めており、ネットを強化するほど同じ壁に当たっていることがうかがえる。

 白書では、課題をクリアするために通販部門の増員や他部署との連携強化を前提に、ネット独自商品の開発や商材確保に向けた専任バイヤーの設置や、ギフト以外の商品開発を行い、他社との差別化を図る必要があると結んでいる。 (おわり)
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