ネットでの過剰な安売りが行き着く果ては

2012年01月26日 12:26

2012年01月26日 12:26

 「ネット販売での安売りには本当に参っている」。こうぼやくのは、通販企業とも取引のある、家電メーカーの幹部。想定価格をはるかに下回る安値で売られることで、アマゾンのような大手サイトも追随。家電量販店での販売価格にも影響を及ぼすわけだ。

 こうした場合、某大手量販店はメーカーに損失補てんを求めてくるのが常だという。独占禁止法の「優越的地位の乱用」は、家電量販に対して何度も適用されているはず。それでも状況が改善されていないのは嘆かわしい限りだ。ネットでの安売りを防ぐことが急務となるが、価格統制はできない。先の幹部は「卸す企業を選別するしかない」と話す。

 アップルは2010年、家電量販の通販サイトも含め、ネットへの卸を停止した(その後一部には再開)。これは、大手量販などが裏で行っている、安売りサイトへの横流しに対するけん制の意図があったと言われている。ただ、アップルのように強気な態度を示せるメーカーは少ない。損失補てんを強いられても泣き寝入りするしかないのが実情だ。

 結局のところ、被害を受けるのはメーカーと、補てんなど要求できない中小の小売企業。特に、価格を容易に変えられないカタログ通販は被害が大きい。いわゆる「バッタ屋」に商品を流さないようにするなど、適切な対処をしなければ業界は疲弊するばかりだろう。

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