消費者教育は「隗より始めよ」

2013年07月11日 19:26

2013年07月11日 19:26

 仕事から帰り、何気なくつけたテレビで放送していたアニメ。あるキャラクターが悪徳訪販事業者に大量の商品を売りつけられるという話だった。業者に文句を言っても埒があかず、別のキャラが「(騙されたキャラは)未成年者だからクーリングオフが効くはず」と助言、問題が解決した。

 言うまでもなく、クーリングオフの適用に年齢は無関係。ここで思い出したのが、元首相が読んでいたという真偽不明の噂も流れた某漫画。主人公の趣味は「通販で買った商品を期限間近にクーリングオフしてスリルを楽しむ」というもの。制度への誤認にげんなりした記憶がある。

 「フィクションだから仕方ない」と見る向きもあろうが、経験上エンターテインメントで得た情報は意外と頭に残るもの。通販事業者独自の返品制度を「クーリングオフ」と誤解する消費者が存在する理由の一端を垣間見た気がした。

 制度を誤解する消費者が増えることで喜ぶのは悪徳業者だけだし、何よりこうした間違いは興ざめだ。別にすべてを正しく表現する必要はないが、クーリングオフの適用条件は調べれば簡単に分かる。

 もっとも、これは製作者の責任というよりも、国の消費者教育が進んでいない証左といえよう。「隗より始めよ」という言葉があるが、漫画やアニメのような身近な娯楽を「間違った例」として教育の材料に取り上げるのも面白いかもしれない。

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