通販は「変化創造業」になる
為替や株価の動向を見る限りでは、新年に入ってからの日本経済は上向きとなっているようだ。実際に"初売り"も多くの企業で例年よりも手ごたえがあったようで、本紙が主要通販実施企業を対象に年始に実施した調査でも今年の通販業界の景況感について回答したうちの半数の企業が「上向く」と回答している。2014年が通販業界にとって明るく良い年になることを願いたいし、各社の奮戦に期待したい。
新年の景気好転を期待する一方でやはり冷静に考える必要があるのは本紙調査でも新年の懸念事項として各社からも挙がっている4月に控えた消費増税の影響だろう。せっかくの勢いに冷や水を浴びせたくはないが、通販業界を含め、小売業界が全体的に新年に入ってから好調に推移しているのは、消費増税を踏まえた「駆け込み」がすでに始まっており、それが好調さの源泉になっている可能性は否定できない。新年の好調さは「実力」なのか、「見せかけ」のものなのかを判断するのは時期尚早と言え、現時点で単純に消費意欲の回復を喜べる段階ではないはずだ。
さらに怖いのは「駆け込み」後の状況だ。過去の消費増税や海外での増税の事例を見る限り、増税後に消費意欲が一定期間、低下することは確実だ。しかも、今回の場合、消費増税は二段階であり、2015年はさらに消費税率が10%まで引き上がる予定となっている。こうした状況を踏まえ、消費者はかなり先の需要、つまり、2015年の二段階増税を見越した消費行動を今年3月末までに行ってくる可能性がある。つまり、大きく需要の先食いが行われ、本来であれば夏頃にはある程度、回復するであろう増税後の消費低迷が、今回の場合は、かつてないほどに長引く可能性もないとは言えない。消費増税の影響がどの程度の期間、出てくるかが今年の通販業界の状況を左右することは間違いあるまい。
とは言え、消費増税の影響を受けるのはみな同じだ。悲観的になっていてもそれに意味はなく、そうした状況下でどう業績を維持できるか。またはさらに成長させるにはどうすればよいかを考えることこそが重要であろう。「先行きが不透明な時代だからこそ、自ら価値を創りだす『イノベーション』を常に起こしていくことが重要」(ファンケルの池森会長)や「売れなくなったら何が売れるかを考えればいい。これからは常にチャレンジし続けないと生き残れない。『期待に応えます』とか『変化に対応します』ではなく『変化を作り出す』とか『期待を超えます』でないとお客様は離れていく」(ジャパネットたかたの高田社長)と業界をリードし、これまでに何度もあった厳しい状況を乗り越えてきた通販企業のトップはこう語る。
外部環境の変化は常に起こり得ることを前提に、その中で生き残るために、自らをどう変化させ、差別化の源泉となる"進化"や"創造"を自らに見出していけるか。それは今年だけに限ったことでなく、これから先もずっと求められることになる。小売業は「変化適応業」と言われてきたがこれからは「変化創造業」になるだろう。改めて2014年、通販各社の奮戦を期待したい。
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さらに怖いのは「駆け込み」後の状況だ。過去の消費増税や海外での増税の事例を見る限り、増税後に消費意欲が一定期間、低下することは確実だ。しかも、今回の場合、消費増税は二段階であり、2015年はさらに消費税率が10%まで引き上がる予定となっている。こうした状況を踏まえ、消費者はかなり先の需要、つまり、2015年の二段階増税を見越した消費行動を今年3月末までに行ってくる可能性がある。つまり、大きく需要の先食いが行われ、本来であれば夏頃にはある程度、回復するであろう増税後の消費低迷が、今回の場合は、かつてないほどに長引く可能性もないとは言えない。消費増税の影響がどの程度の期間、出てくるかが今年の通販業界の状況を左右することは間違いあるまい。
とは言え、消費増税の影響を受けるのはみな同じだ。悲観的になっていてもそれに意味はなく、そうした状況下でどう業績を維持できるか。またはさらに成長させるにはどうすればよいかを考えることこそが重要であろう。「先行きが不透明な時代だからこそ、自ら価値を創りだす『イノベーション』を常に起こしていくことが重要」(ファンケルの池森会長)や「売れなくなったら何が売れるかを考えればいい。これからは常にチャレンジし続けないと生き残れない。『期待に応えます』とか『変化に対応します』ではなく『変化を作り出す』とか『期待を超えます』でないとお客様は離れていく」(ジャパネットたかたの高田社長)と業界をリードし、これまでに何度もあった厳しい状況を乗り越えてきた通販企業のトップはこう語る。
外部環境の変化は常に起こり得ることを前提に、その中で生き残るために、自らをどう変化させ、差別化の源泉となる"進化"や"創造"を自らに見出していけるか。それは今年だけに限ったことでなく、これから先もずっと求められることになる。小売業は「変化適応業」と言われてきたがこれからは「変化創造業」になるだろう。改めて2014年、通販各社の奮戦を期待したい。