洋服も「安い・早い・うまい」に

2009年08月21日 00:04

2009年08月21日 00:04

▼アパレル上場3社の第1四半期決算が出揃った。スタートトゥデイは送料無料の施策が奏功し首位快走、続くマガシークは増収もプロパー不振で減益、スタイライフは自社で発行する通販雑誌が不調で増収も赤字決算となった。

▼07年度までは各社が共に2桁以上の増収増益を達成していたが、リーマン・ショック以降、業績に差が開いている。ただ、07年度まではアパレルネット販売の黎明期だった。

▼従来ネットでは買えなかった商品がネットで売られていること、それ自体に高いニーズがあった。だから"やればやるだけ"業績を伸ばせる余地が十分にあった。

▼一方、リーマン・ショック以降は、その需要も確かにあるものの、それ以上に「安さ」へのニーズが高まった。マガシーク、スタイライフともにアウトレット専用サイトの業績は、プロパーの伸び悩みに反して好調だ。

▼背景には洋服に対する価値感の変化もありそうだ。最近のファスト・ファッションの台頭は、洋服も「安い・早い・うまい」のファーストフードの感覚に似てきたように思う。

▼付加価値を付けてそれなりの値段で売るプロパーを支える顧客は一部のコアな服好きに限られ、大多数は正価そのものが値ごろなユニクロやファスト・ファッション、そしてアウトレットに流れる―。今後3社は"一部"と化したコアな服好きを巡ってシェア争いが激化することになりそうだ。

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