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シニア層は賢い消費に移行【金山博通販部長に聞く ハルメクの通販戦略とは?㊦】 価値を高めて値上げを実施
ハルメク
シニア層は賢い消費に移行【金山博通販部長に聞く ハルメクの通販戦略とは?㊦】 価値を高めて値上げを実施
2023年04月27日 10:45
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2023年04月27日 10:45
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前号に引き続き、ハルメクの金山博通販本部長に、通販事業の戦略などを聞いた。
――シニアはコスパを求めているのか。
「シニア女性に話を聞くと、コスパが良い商品、お得感のある商品が欲しいと言うが、実売になるとそうではない。安いもので失敗するよりも、良い商品を長く使うという”賢い消費”にシニア層は移っていると感じる」
――消費者の生活防衛意識は高い。
「当社も今年1月に節約企画を展開したが、私は『値上げ=悪』という公式はやめたいと思っている。『価値=価格』だと信じているので、価値を磨き、お客様のニーズにフィットするものを作って提案するという方向にシフトしている。価値づくりが大事だ」
「値上げは徐々に実施しているが単純な値上げではなく、『価値=価格』の観点から既存商品を作り変え、機能性などを高めて再提案している」
――カタログでの打ち出し方に変化は。
「カタログ誌面も価値提案の取り組みに合わせて、1月発売の2月号から、巻頭部分でハルメクが考える理想の暮らしとして『ものは少なく、暮らしは豊かに』というフレーズを掲げた。むやみにものを増やさず、少ないもので豊かに暮らせるように、当社が商品を厳選し、もっともいいものだけを提案することを伝えている。世の中にぴったりなものがなければ当社で作るというスタンスだ」
――PB商品が売り上げの7割を占める。
「ファッションでは例えば、お客様130人以上の体型を3D機器で計測し、作成した50代以上のリアルな体型のトルソーでサイズを決定している。JIS規格に則ったサイズを基準にするのが一般的だが、当社ではシニア女性に合うサイズを設定している。そのトルソーで作ったコットンプルオーバーなどが定番服として人気だ。また、約200人の計測結果からO体型とA体型の体型別ストレッチパンツを開発して好評を得ている」
――コスメやファッションなどのPB比率が高い。
「
昔着ていた服やつけていたコスメが似合わなくなったり、しっくりこなくなったりするのは、体型の変化や顔色の変化が影響している。いまの体型や顔の色味に合ったおしゃれを提案すれば似合うはずで、若い頃との変化をしっかり計測し分析することで、シニア女性に合った商品を開発している」
「今後は、『ものは少なく、暮らしは豊かに』を体現できるように、商品の販売だけでなく、サービスも開発していきたい」
――新規顧客を開拓する方法は。
「大きくはふたつあって、ひとつは『ハルメク』の雑誌に通販カタログを同梱して雑誌読者に届けている。もうひとつは、新聞広告などのマスメディアを活用している。お客様の数はビジネスの根幹なので、新規は大事だ。雑誌の定期購読者数が伸びているので通販カタログの配布数も増えている」
――顧客層の違いなどは。
「雑誌の読者で通販を利用される方は『ハルメク』に対する信頼が高く、当社が選ぶものなら試してみたいという理由で購入されることが多い。新聞広告から来訪するお客様はまず商品に興味があるので、一度購入して頂けると、次の商品でF2転換しやすいという面もある。『ハルメク』の読者はF1が雑誌だとすると、通販商品の購入というF2転換にはもうワンステップ必要になる」
「現状は、これまでに新規のお客様がどんな商品を買ったのか、なぜ買ったのかを分析して作った方式に沿って段階的におすすめしている。新規用の別冊カタログを届けたりもしている」
――新聞広告などで獲得した新規顧客に対しては。
「商品軸でF1からF2に転換する公式があるので、そういう商品を掲載した別冊を作ってリピーターに引き上げる取り組みを実施している」
――ウェブ強化は。
「商品によってはカタログ誌面にQRコードを掲載してウェブに誘導している。当社のお客様がQRコードを使いこなせるか議論になり、最初の頃は冊子を作って使い方を教えたので、いまはウェブも見ているお客様が増えた」
「カタログで展開している商品だけでなく、ウェブ上では別デザインの服や大きいサイズを掲載したり、誌面では紹介し切れないコーディネートを提案できたりと、視覚的な情報も増やせる。どういう内容を伝えればQRコードから遷移してチェックしてもらえるかを試している」
――紙代が値上がりしている。
「紙のコストアップは非常に大きな負担なので、さまざまな対応をしている。雑誌からカタログという新規の大きな入り口の部分をDX化し、デジタルに大胆に切り替えていく計画がある。サブスク型のオンラインメディア『ハルメク365』を運営していて、その中のコンテンツから通販サイトに送客する仕組みを積極的に広げようとしている」
「カタログの優位性は間違いなくあるので、紙媒体がなくなることはないが、ウェブとのかけ算で考える必要がある。お客様の選択肢を増やすことも大事だし、お客様がウェブを選択したとしても適時、カタログを届けて誌面を楽しめるようなことも想定している」
――そのほかのコストアップ対策は。
「雑誌の新規読者に同梱する通販カタログ『ハルメク おしゃれ』と『ハルメク 健康と暮らし』を1冊にした合体版を昨年の夏からテストで届け始め、今年1月から本格化している。合体版は、新規購入者をターゲットにした商品を選別して掲載することで購入率を高める狙いもある」
――2024年3月期に優先的に取り組むことは。
「お客様の数の拡大を目指す。販売チャネルとしてカタログと新聞広告、実店舗もあるが、その縦割りを崩して横の連携を強化する。また、お客様の幅広いニーズに応えるためには、自社ですべて取り組むのではなくシニア女性のためのプラットフォームとして機能し、他社との連携やコラボ商品などを拡大していきたい」
――とくに強化するカテゴリーは。
「7つあるカテゴリーのうち、まずはインナーと靴を優先的に伸ばす。インナーは元々強く、靴は理学療法士の理論をもとに当社が開発した特徴的な靴を展開しているので、これを広めていきたい。靴は実店舗でも提案しているが、『履けば分かる』ではダメで、通販でも商品の良さが伝わって、通販で購入したお客様に満足してもらうところにチャレンジする」
「また、会社としては決まっていないが、個人的な思いとして海外のアクティブシニアのニーズを拾って次の成長に向けた準備をしたい。1年以上前からマーケティング調査を行っている。事業拡大を目指す以上、市場を広げるという意識は忘れてはいけないと思っていて、その準備は進める」(おわり)
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――シニアはコスパを求めているのか。
「シニア女性に話を聞くと、コスパが良い商品、お得感のある商品が欲しいと言うが、実売になるとそうではない。安いもので失敗するよりも、良い商品を長く使うという”賢い消費”にシニア層は移っていると感じる」
――消費者の生活防衛意識は高い。
「当社も今年1月に節約企画を展開したが、私は『値上げ=悪』という公式はやめたいと思っている。『価値=価格』だと信じているので、価値を磨き、お客様のニーズにフィットするものを作って提案するという方向にシフトしている。価値づくりが大事だ」
「値上げは徐々に実施しているが単純な値上げではなく、『価値=価格』の観点から既存商品を作り変え、機能性などを高めて再提案している」
――カタログでの打ち出し方に変化は。
「カタログ誌面も価値提案の取り組みに合わせて、1月発売の2月号から、巻頭部分でハルメクが考える理想の暮らしとして『ものは少なく、暮らしは豊かに』というフレーズを掲げた。むやみにものを増やさず、少ないもので豊かに暮らせるように、当社が商品を厳選し、もっともいいものだけを提案することを伝えている。世の中にぴったりなものがなければ当社で作るというスタンスだ」
――PB商品が売り上げの7割を占める。
「ファッションでは例えば、お客様130人以上の体型を3D機器で計測し、作成した50代以上のリアルな体型のトルソーでサイズを決定している。JIS規格に則ったサイズを基準にするのが一般的だが、当社ではシニア女性に合うサイズを設定している。そのトルソーで作ったコットンプルオーバーなどが定番服として人気だ。また、約200人の計測結果からO体型とA体型の体型別ストレッチパンツを開発して好評を得ている」
――コスメやファッションなどのPB比率が高い。
「昔着ていた服やつけていたコスメが似合わなくなったり、しっくりこなくなったりするのは、体型の変化や顔色の変化が影響している。いまの体型や顔の色味に合ったおしゃれを提案すれば似合うはずで、若い頃との変化をしっかり計測し分析することで、シニア女性に合った商品を開発している」
「今後は、『ものは少なく、暮らしは豊かに』を体現できるように、商品の販売だけでなく、サービスも開発していきたい」
――新規顧客を開拓する方法は。
「大きくはふたつあって、ひとつは『ハルメク』の雑誌に通販カタログを同梱して雑誌読者に届けている。もうひとつは、新聞広告などのマスメディアを活用している。お客様の数はビジネスの根幹なので、新規は大事だ。雑誌の定期購読者数が伸びているので通販カタログの配布数も増えている」
――顧客層の違いなどは。
「雑誌の読者で通販を利用される方は『ハルメク』に対する信頼が高く、当社が選ぶものなら試してみたいという理由で購入されることが多い。新聞広告から来訪するお客様はまず商品に興味があるので、一度購入して頂けると、次の商品でF2転換しやすいという面もある。『ハルメク』の読者はF1が雑誌だとすると、通販商品の購入というF2転換にはもうワンステップ必要になる」
「現状は、これまでに新規のお客様がどんな商品を買ったのか、なぜ買ったのかを分析して作った方式に沿って段階的におすすめしている。新規用の別冊カタログを届けたりもしている」
――新聞広告などで獲得した新規顧客に対しては。
「商品軸でF1からF2に転換する公式があるので、そういう商品を掲載した別冊を作ってリピーターに引き上げる取り組みを実施している」
――ウェブ強化は。
「商品によってはカタログ誌面にQRコードを掲載してウェブに誘導している。当社のお客様がQRコードを使いこなせるか議論になり、最初の頃は冊子を作って使い方を教えたので、いまはウェブも見ているお客様が増えた」
「カタログで展開している商品だけでなく、ウェブ上では別デザインの服や大きいサイズを掲載したり、誌面では紹介し切れないコーディネートを提案できたりと、視覚的な情報も増やせる。どういう内容を伝えればQRコードから遷移してチェックしてもらえるかを試している」
――紙代が値上がりしている。
「紙のコストアップは非常に大きな負担なので、さまざまな対応をしている。雑誌からカタログという新規の大きな入り口の部分をDX化し、デジタルに大胆に切り替えていく計画がある。サブスク型のオンラインメディア『ハルメク365』を運営していて、その中のコンテンツから通販サイトに送客する仕組みを積極的に広げようとしている」
「カタログの優位性は間違いなくあるので、紙媒体がなくなることはないが、ウェブとのかけ算で考える必要がある。お客様の選択肢を増やすことも大事だし、お客様がウェブを選択したとしても適時、カタログを届けて誌面を楽しめるようなことも想定している」
――そのほかのコストアップ対策は。
「雑誌の新規読者に同梱する通販カタログ『ハルメク おしゃれ』と『ハルメク 健康と暮らし』を1冊にした合体版を昨年の夏からテストで届け始め、今年1月から本格化している。合体版は、新規購入者をターゲットにした商品を選別して掲載することで購入率を高める狙いもある」
――2024年3月期に優先的に取り組むことは。
「お客様の数の拡大を目指す。販売チャネルとしてカタログと新聞広告、実店舗もあるが、その縦割りを崩して横の連携を強化する。また、お客様の幅広いニーズに応えるためには、自社ですべて取り組むのではなくシニア女性のためのプラットフォームとして機能し、他社との連携やコラボ商品などを拡大していきたい」
――とくに強化するカテゴリーは。
「7つあるカテゴリーのうち、まずはインナーと靴を優先的に伸ばす。インナーは元々強く、靴は理学療法士の理論をもとに当社が開発した特徴的な靴を展開しているので、これを広めていきたい。靴は実店舗でも提案しているが、『履けば分かる』ではダメで、通販でも商品の良さが伝わって、通販で購入したお客様に満足してもらうところにチャレンジする」
「また、会社としては決まっていないが、個人的な思いとして海外のアクティブシニアのニーズを拾って次の成長に向けた準備をしたい。1年以上前からマーケティング調査を行っている。事業拡大を目指す以上、市場を広げるという意識は忘れてはいけないと思っていて、その準備は進める」(おわり)