サステナビリティへの意識の高まりや物価高騰、為替影響による海外ブランド品の値上がり傾向などもあり、中古品、リユース品に対する需要が高まっている。すでに古着などのオンライン買い取りをサービス化する通販実施企業は増えているが、リユース品を販売するに当たっては、偽物対策による安心感の醸成や独自サービスによる差別化要素が不可欠だ。

　「メルカリ」の台頭で注目を集めるCtoCの二次流通市場では偽物の流通に加え、すり替え詐欺、返品トラブルといった個人間取り引きにおける悪質な手口が年々巧妙化しており、ユーザーにとっての安心・安全な取り引きをどのように担保するかが業界全体の課題だ。

　そうした中、注目を集めているのが、SODAが運営するスニーカーを中心としたフリマアプリ「スニーカーダンク（スニダン）」だ。同サービスは7年前のサービス開始時から〝鑑定付き流通モデル〟で利用者の信頼を得ている。「スニダン」は鑑定業務や物流業務、カスタマーサポートを行う拠点「スニダンベース」を都内に構え、毎日数千点に及ぶ商品の鑑定を実施している。

　足もとでは同拠点内に「スニダン鑑定研究所」を新設。偽装品に関する調査・研究を行うほか、真贋鑑定技術の向上に向けた研究開発、一次流通企業やブランドとの連携、人気・新作アイテムの本物と偽造品の見分け方に関する情報発信などに取り組み、「本物だけが流通する社会を目指したい」（内山雄太CEO）とする。

　楽天グループは、フリマアプリの「楽天ラクマ」で昨年10月、コメ兵と共同で提供している、ラクマで商品を購入したユーザーが必要に応じて商品の検品依頼ができる「ラクマ鑑定サービス」を刷新した。対象となる商品を購入後、配送される前に無料で真贋鑑定できる「お届け前鑑定」を導入した。購入者が商品を発送する手間をなくし、よりブランド品の真贋を鑑定しやすい仕組みを整備したことで、競合の「メルカリ」との差別化を図る狙いだ。

　CtoC以外では、ゾゾが展開する古着ECの「ゾゾユーズド」は、新品と古着を両方扱う同社ならではの強みが生きている。同社では、新品を販売する「ゾゾタウン」の利用者に対し、過去に購入した商品を買い取ることで新品の値段を割り引く「買い替え割」が好評で、新品購入の後押しと古着調達の一挙両得の施策になっている。

　全国の税関で知的財産侵害物品の輸入差し止め件数が過去最多を更新する中、二次流通市場での商いを成功させるには、徹底的に偽物を排除する仕組みや独自性の高いサービスがより求められている。