ワークマンが万年在庫不足から脱却へ、人気商品の生産10倍に アプリもスタート

2025年09月03日 17:04

2025年09月03日 17:04

 作業服専門店チェーンのワークマンは、人気商品の〝万年在庫不足〟からの脱却を目指して生産数を従来の8~10倍に引き上げる。今秋冬物では寒暖差対策ウェアやリカバリーウェアなど4アイテムを戦略商品に位置付けて生産数を拡大。SNSや新聞折り込みチラシを活用して幅広い消費者層へのアプローチを強化することで戦略商品の売り上げ拡大につなげる。


0903170116_68b7f5cc6d040.jpg 同社が9月1日に都内で開催した新製品発表会「ワークマンエキスポ2025秋冬」のステージに登壇した土屋哲雄専務は、「当社は人気商品の欠品が多い。買いたくても買えないお客様が多く、思っている以上に顧客満足度が低いのではないか」と危機感を示した上で、「商品の幅ではなく深み(奥行き)で売る新しいワークマンへと脱皮する」と宣言した。

 同社は差別化された商品を数多く開発し、建設業や製造業などで働く職人の支持を得て成長。直近の10年間は一般消費者、女性客の取り込みにも成功してきたが、多くのアパレル企業が過剰在庫で疲弊する姿を見てきたことから、「とにかく在庫を抱えることにびびっていた」(土屋専務)とし、人気商品の欠品が常態化することで転売ヤーのターゲットにもなっているのが現状という。

 そこで、人気商品については大幅に生産数を引き上げる方針で、ひとつの商品シリーズで100億円超の売り上げを確保するアイテムを育てていく。

 今秋冬シーズンについては重点4商品を選定。4商品合計で465万着を生産し、133億円の売り上げを目指す。これは昨年の8~10倍の生産数で、ワークマン始まって以来の大規模生産になる。

 重点商品の筆頭がリカバリーウェアの「メディヒール」シリーズと寒暖差対策ウェアの「エックスシェルター」シリーズで、前者は200万着、後者は125万着を生産するという。

 とくに、一般医療機器で疲労回復をアシストする「メディヒール」シリーズは、大手ブランドの10分の1程度の価格帯で、販売開始からの4年間で170万着を売ったが、今秋冬からは販売ターゲットを従来の作業者から一般消費者に拡大し、24アイテムを展開。昨年秋冬商戦の10倍となる200万着を生産し34億円の売り上げを計画する。続く26年春夏商戦では330万着、51億円を目標とする。

0903170149_68b7f5ed42ae9.jpg 生産数の拡大に当たって販促施策も強化。全国のワークマン全店で店舗入り口正面の一等地に特設売り場を設けるほか、東京ソラマチ店やららぽーと甲子園店、イオンモール名古屋大高店など5カ所の大型モール内店舗を「メディヒール」のラッピングストアに改装し広告塔の役割を果たす。

 また、9月1日に開催した新製品発表会にはメディアのほかに700人のインフルエンサーを招待しSNSで発信してもらう。加えて、秋冬期に3回実施するワークマンの新聞折り込みチラシのトップ蘭で「メディヒール」シリーズを掲載。チラシは毎回全国で2400万部を配布するという。

 なお、9月1日には同社初となるスマートフォンアプリ「ワークマンアプリ」を始動。店舗在庫を検索できる機能を搭載することで来店効果を期待しており、10月に販売開始予定の「メディヒール」の一部商品についてはアプリで先行予約を受ける。

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