前号に引き続き、エアークローゼットの天沼社長に、現状の取り組みや今後の展望などについて聞いた。
◇

――来春から「エアクロメンズ」を開始予定だ。
「創業時からメンズは展開したいと思っていたので、ようやくスタートできたという気持ちだ。取扱商品は、ビジネスカジュアルからカジュアルをメインにしようと考えている。〝平日はスーツで済ませているが、休日何を着ればいいのか分からない〟という方や、〝家族との時間を優先すると服を買いに行く暇がない〟という悩みを抱えている男性も多いと思うので、そうした方々の役に立ちたい。コロナ以降は〝脱スーツ〟の会社も増えて、ファッションのカジュアル化が進んでいる。また、スーツやシャツなどのビジネスアイテムは、セミオーダーに近いものが安価で作れる時代になってきているので、さほどレンタルの需要はなさそうだ。今後もカジュアル化の動きは強まっていくだろうし、平日休日関係なく使えるようなサービスが良いと感じた」
――洋服選びに課題を抱えている男性がファッションレンタルを選ぶのはハードルが高い気がする。
「その通りだ。一方で、サービスを開始してみないと分からない部分だが、一度入会したサブスクを継続するという点においては、男性の方が女性よりも続けやすいのではないかと考えている。また、男性の方は『ファッションサブスクを使っている』ということを共有しやすいような気がするので、口コミ効果も見込めるのではないか。男性は服選びにあまり時間をかけたくないという方が多いので、エアクロを使って効率的に服選びを楽しんでほしい」
――「エアクロメンズ」開始まで、どのような検証を行う。
「サービス設計自体を固めるのはもちろん、メンズならではの仕様についても考慮しなければならない。たとえば、サイズの聞き方一つとっても、レディースの仕組みをそのままメンズに踏襲してもいいのかというところ。どのような聞き方をすれば、身体のサイズ情報を正確に把握できるのか、試行錯誤している。現在は参画ブランドの詳細が決まりつつあるが、ブランド様とのコミュニケーションや買い付け業務も並行して行っている」
――メンズに特化したスタイリストを新たに雇用するのか。
「当社には400名程度のスタイリストが在籍しているが、これまでメンズスタイリングを行ってきた方も多いので、一部の方はメンズスタイリングに寄せてもらう。メンズとレディースの枠組みは明確に分けずに、今後もスタイリスト募集をかけていく予定だ。ただ、サイトのデザインやブランディングはレディースと分けて考えるつもりなので、現在設計している。アートディレクターも兼務しているので、お客様の五感に触れる部分はすべて確認するようにしている」
――冠婚葬祭などのオケージョンレンタルにも取り組む。
「オケージョンレンタルは、着物のレンタルもドレスのレンタルもすでに存在する市場だ。我々は日本で全くマーケットのない〝普段着のレンタル〟という市場からスタートしたが、エアクロ事業でお客様との信頼関係を構築していった暁には、既存レンタル市場にも優位な状態で参入できると考えていた。なので、オケージョンレンタルは、一旦エアクロ事業を固めてから参入しようと思っていたエリア。現在オケージョンレンタルもお客様から好評いただいているので、使い勝手の良いサービスが作れて良かったと思っている。今後もサービス領域を拡大しながら、スポット型のオケージョンレンタルと、ストック型のサブスクリプションの両軸で相互送客していきたい」
――3年以内に100億円の売り上げを目指す。現状の課題は。
「まずはレディースの成長が第一優先。その上で、メンズがどれだけ短期的にレディースに追いつけるのかという部分が肝要。レディースはサービス開始から3年程度で10億円規模の売り上げを達成できているので、メンズもそれに劣らないくらいの成長ができれば」
――エアクロ事業開始から10年が経過した。市場の変化は。
「まだまだ〝服を借りる〟という選択肢は根付いていないと感じる。CtoCのサービスでは、巨額の広告宣伝費をかけていくのが正しいやり方なのだろうが、我々はBtoBtoCなので、物流や買い付けのキャパシティをバランス良く上げていく必要性があるため、これまで大々的な広告宣伝は行っていなかった。とはいえ、依然として認知度が低いままではまずい。〝ファッションレンタルを聞いたことがある〟という方は10年間で増えてきているが、まだ仕組みをご存じない方が大多数だ」
――引き続き認知拡大に力を入れていく。
「サブスクビジネスは会員が増えるほど、口コミの速度が加速して、顧客との接点も広がっていくので、既存会員が新規会員を呼び込んでくれるような仕組みを定着させていきたい。これまではデジタル広告一辺倒だったが、今後は幅広い認知拡大施策が必要だと感じている。体験店舗をはじめとしたオフラインの取り組みはもちろん、最近はSNS活用に力を入れている。実際、インスタグラムなどの自社メディアではフォロワー数が急速に伸びている。また、友達紹介機能の活用や、他社とのコラボにも力を入れていきたい」(おわり)
前号に引き続き、エアークローゼットの天沼社長に、現状の取り組みや今後の展望などについて聞いた。
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――来春から「エアクロメンズ」を開始予定だ。
「創業時からメンズは展開したいと思っていたので、ようやくスタートできたという気持ちだ。取扱商品は、ビジネスカジュアルからカジュアルをメインにしようと考えている。〝平日はスーツで済ませているが、休日何を着ればいいのか分からない〟という方や、〝家族との時間を優先すると服を買いに行く暇がない〟という悩みを抱えている男性も多いと思うので、そうした方々の役に立ちたい。コロナ以降は〝脱スーツ〟の会社も増えて、ファッションのカジュアル化が進んでいる。また、スーツやシャツなどのビジネスアイテムは、セミオーダーに近いものが安価で作れる時代になってきているので、さほどレンタルの需要はなさそうだ。今後もカジュアル化の動きは強まっていくだろうし、平日休日関係なく使えるようなサービスが良いと感じた」
――洋服選びに課題を抱えている男性がファッションレンタルを選ぶのはハードルが高い気がする。
「その通りだ。一方で、サービスを開始してみないと分からない部分だが、一度入会したサブスクを継続するという点においては、男性の方が女性よりも続けやすいのではないかと考えている。また、男性の方は『ファッションサブスクを使っている』ということを共有しやすいような気がするので、口コミ効果も見込めるのではないか。男性は服選びにあまり時間をかけたくないという方が多いので、エアクロを使って効率的に服選びを楽しんでほしい」
――「エアクロメンズ」開始まで、どのような検証を行う。
「サービス設計自体を固めるのはもちろん、メンズならではの仕様についても考慮しなければならない。たとえば、サイズの聞き方一つとっても、レディースの仕組みをそのままメンズに踏襲してもいいのかというところ。どのような聞き方をすれば、身体のサイズ情報を正確に把握できるのか、試行錯誤している。現在は参画ブランドの詳細が決まりつつあるが、ブランド様とのコミュニケーションや買い付け業務も並行して行っている」
――メンズに特化したスタイリストを新たに雇用するのか。
「当社には400名程度のスタイリストが在籍しているが、これまでメンズスタイリングを行ってきた方も多いので、一部の方はメンズスタイリングに寄せてもらう。メンズとレディースの枠組みは明確に分けずに、今後もスタイリスト募集をかけていく予定だ。ただ、サイトのデザインやブランディングはレディースと分けて考えるつもりなので、現在設計している。アートディレクターも兼務しているので、お客様の五感に触れる部分はすべて確認するようにしている」
――冠婚葬祭などのオケージョンレンタルにも取り組む。
「オケージョンレンタルは、着物のレンタルもドレスのレンタルもすでに存在する市場だ。我々は日本で全くマーケットのない〝普段着のレンタル〟という市場からスタートしたが、エアクロ事業でお客様との信頼関係を構築していった暁には、既存レンタル市場にも優位な状態で参入できると考えていた。なので、オケージョンレンタルは、一旦エアクロ事業を固めてから参入しようと思っていたエリア。現在オケージョンレンタルもお客様から好評いただいているので、使い勝手の良いサービスが作れて良かったと思っている。今後もサービス領域を拡大しながら、スポット型のオケージョンレンタルと、ストック型のサブスクリプションの両軸で相互送客していきたい」
――3年以内に100億円の売り上げを目指す。現状の課題は。
「まずはレディースの成長が第一優先。その上で、メンズがどれだけ短期的にレディースに追いつけるのかという部分が肝要。レディースはサービス開始から3年程度で10億円規模の売り上げを達成できているので、メンズもそれに劣らないくらいの成長ができれば」
――エアクロ事業開始から10年が経過した。市場の変化は。
「まだまだ〝服を借りる〟という選択肢は根付いていないと感じる。CtoCのサービスでは、巨額の広告宣伝費をかけていくのが正しいやり方なのだろうが、我々はBtoBtoCなので、物流や買い付けのキャパシティをバランス良く上げていく必要性があるため、これまで大々的な広告宣伝は行っていなかった。とはいえ、依然として認知度が低いままではまずい。〝ファッションレンタルを聞いたことがある〟という方は10年間で増えてきているが、まだ仕組みをご存じない方が大多数だ」
――引き続き認知拡大に力を入れていく。
「サブスクビジネスは会員が増えるほど、口コミの速度が加速して、顧客との接点も広がっていくので、既存会員が新規会員を呼び込んでくれるような仕組みを定着させていきたい。これまではデジタル広告一辺倒だったが、今後は幅広い認知拡大施策が必要だと感じている。体験店舗をはじめとしたオフラインの取り組みはもちろん、最近はSNS活用に力を入れている。実際、インスタグラムなどの自社メディアではフォロワー数が急速に伸びている。また、友達紹介機能の活用や、他社とのコラボにも力を入れていきたい」(おわり)