前号に続き、スーツ専門店のAOKIで、成長を続けるEC事業について、現状や今後の展望を近松良執行役員に聞いた。
◇

――実店舗とECの連携は。
「会員登録時にお気に入りの実店舗登録ができたり、店頭在庫の検索やEC購入商品の受取店舗を指定できるような仕組みがアプリやECで進んでいる。また、(グループの)ORIHICA(オリヒカ)で好調な実績を経て、今年10月からAOKI店舗でも始めたもので今はまだ50店舗弱だが、『ウェブオーダーサービス』という機能も導入した。ECの在庫から実店舗に取り寄せて買えるというもので、ECで見て気に入った商品を試着するために取り寄せたり、店頭では購入が決められなかった際に帰宅後にECで買えるようにその商品のQRコードを渡すもの。これが実店舗在庫の削減と店舗運営の効率化に生きてくる。対象の店舗としてはスペースの関係で中々在庫が置ききれないような狭小店となる。
そのほかにも、最近ではECで購入した商品を店舗で返品できるサービスであったり、実店舗の購入商品について、裾上げなどはECの倉庫でやってその後自宅に届けるなど、一度の来店で買い物が完結する形もある。様々な内容で実店舗とECを橋渡しする企画を行っている」
――近年は全社的にレディースを強化しているが、ECでの施策とは。
「レディースについては数年前から『MeWORK(ミワク)』というブランドを立ち上げて多面的に訴求している。それ以外にECではウェブ限定のレディース商品の提案がある。トップスなどになるが、色や形など従来のAOKIではあまりなかったような新しいトレンドのものをECを使って販売している。色柄など大胆なものもあるが予想以上に支持されている。
また、今はスタッフによるコーデ投稿の『スタッフスナップ』で実店舗から協力を得ている。若年層からベテラン層まで、幅広い年齢の店舗スタッフに自主的に参加してもらい、ウェブ上でもサイズ感や着こなしが分かってもらえるように投稿している。
デジタルの顧客接点ということでは『インスタグラム』を活用していて、公式アカウントでの雑誌社とのコラボ投稿をはじめ、インスタライブなども実施してフォロワーとのコミュニケーションをとっている。過去の配信素材はECのコンテンツとしても掲載しており、その閲覧数も年々増えている。ともすれば同じものに見えがちなアパレル商品を、プロの販売員やスタイリストがきちんと説明することで支持を得ている企画となっている。」
――インスタからECへの送客は。
「ライブコマースではないので、配信自体はインスタで完結するが、例えば配信中にコメントを投稿してくれた視聴者に対してはDMでECのクーポンを送るなど送客が図れるようにしている」
――今後の課題や展望は。
「OMO推進ということで、顧客がリアルでもネットでも当たり前のようにシームレスに買える状況を作ることは急務だと年々感じている。実店舗への理解促進であったり、サイト上のUIやUX、システム的な部分、ロジスティクス周りも含めて会社全体での課題だと捉えている。顧客の買い方に合わせて我々自身が変わっていくということを、全社員が納得して動けるようになることが大切。実店舗ではプロだからこそできるコーディネート提案など、そういったものを楽しみにぜひ来店してもらいたいと思うが、一方で時間がなかったり、サイズが分かっているのでネットで買いたいという多様なニーズもある。このようなニーズに対しても買える場所や仕組みを用意していくことを止まることなくやり続けることが重要だ」 (おわり)
前号に続き、スーツ専門店のAOKIで、成長を続けるEC事業について、現状や今後の展望を近松良執行役員に聞いた。
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――実店舗とECの連携は。
「会員登録時にお気に入りの実店舗登録ができたり、店頭在庫の検索やEC購入商品の受取店舗を指定できるような仕組みがアプリやECで進んでいる。また、(グループの)ORIHICA(オリヒカ)で好調な実績を経て、今年10月からAOKI店舗でも始めたもので今はまだ50店舗弱だが、『ウェブオーダーサービス』という機能も導入した。ECの在庫から実店舗に取り寄せて買えるというもので、ECで見て気に入った商品を試着するために取り寄せたり、店頭では購入が決められなかった際に帰宅後にECで買えるようにその商品のQRコードを渡すもの。これが実店舗在庫の削減と店舗運営の効率化に生きてくる。対象の店舗としてはスペースの関係で中々在庫が置ききれないような狭小店となる。
そのほかにも、最近ではECで購入した商品を店舗で返品できるサービスであったり、実店舗の購入商品について、裾上げなどはECの倉庫でやってその後自宅に届けるなど、一度の来店で買い物が完結する形もある。様々な内容で実店舗とECを橋渡しする企画を行っている」
――近年は全社的にレディースを強化しているが、ECでの施策とは。
「レディースについては数年前から『MeWORK(ミワク)』というブランドを立ち上げて多面的に訴求している。それ以外にECではウェブ限定のレディース商品の提案がある。トップスなどになるが、色や形など従来のAOKIではあまりなかったような新しいトレンドのものをECを使って販売している。色柄など大胆なものもあるが予想以上に支持されている。
また、今はスタッフによるコーデ投稿の『スタッフスナップ』で実店舗から協力を得ている。若年層からベテラン層まで、幅広い年齢の店舗スタッフに自主的に参加してもらい、ウェブ上でもサイズ感や着こなしが分かってもらえるように投稿している。
デジタルの顧客接点ということでは『インスタグラム』を活用していて、公式アカウントでの雑誌社とのコラボ投稿をはじめ、インスタライブなども実施してフォロワーとのコミュニケーションをとっている。過去の配信素材はECのコンテンツとしても掲載しており、その閲覧数も年々増えている。ともすれば同じものに見えがちなアパレル商品を、プロの販売員やスタイリストがきちんと説明することで支持を得ている企画となっている。」
――インスタからECへの送客は。
「ライブコマースではないので、配信自体はインスタで完結するが、例えば配信中にコメントを投稿してくれた視聴者に対してはDMでECのクーポンを送るなど送客が図れるようにしている」
――今後の課題や展望は。
「OMO推進ということで、顧客がリアルでもネットでも当たり前のようにシームレスに買える状況を作ることは急務だと年々感じている。実店舗への理解促進であったり、サイト上のUIやUX、システム的な部分、ロジスティクス周りも含めて会社全体での課題だと捉えている。顧客の買い方に合わせて我々自身が変わっていくということを、全社員が納得して動けるようになることが大切。実店舗ではプロだからこそできるコーディネート提案など、そういったものを楽しみにぜひ来店してもらいたいと思うが、一方で時間がなかったり、サイズが分かっているのでネットで買いたいという多様なニーズもある。このようなニーズに対しても買える場所や仕組みを用意していくことを止まることなくやり続けることが重要だ」 (おわり)